自閉症スペクトラムの方への腸内フローラ移植

2020年12月28日

私が所属している腸内フローラ移植臨床研究会で、自閉症スペクトラム検証チームが立ち上げられて、【腸内フローラ移植をご希望の自閉症スペクトラムの患者さんと保護者の方へ】各種検査のご協力のお願いという企画がスタートしました。

私が研究会のメンバーで唯一の精神科医なので、企画から最終的なデータのまとめ役を担当させて頂いております。

当院は移植実施機関ではありませんので、移植は出来ませんが、相談に乗ることは可能です。

今回の企画では移植をされる方の、腸内フローラバランスの検査料(55,000円x2回)が無料となりますが、2年間の経過観察の記録をお願いしています。

腸内フローラ移植は、偽膜性腸炎や炎症性腸疾患をはじめとして、現代病に対する効果が報告されています。

当研究会では、これまでに約10名の自閉症スペクトラムの方の移植を行ってきましたが、短期間での、軽度から中等度以上の改善がほぼ全員で報告されています。著効例では、移植後2年を経過した患者さんが、主治医から自閉症スペクトラムとはもう言えませんといわれた症例もあります。

諸外国での研究報告では、アメリカ、カナダ、中国でも同様の報告がありますが、有効例と無効例が混在しています。

腸内フローラ移植の無効例(ノンレスポンダー)が出る理由は、ドナーの腸内細菌たちが生着しなかったことや、ドナーが合わなかったことなどが考えられます。

当研究会では、目に見えない微細な泡を含んだNanoGAS(高機能ウルトラファインバブル)水を移植菌液に使うことにより移植の際の拒絶反応を最小限にすることや、ドナーバンクに在籍するドナー便を使用することをはじめとして、様々な工夫を重ねて、移植の成功率を上げています。

自閉症スペクトラムの腸内フローラバランスは、諸説ありますが、実際にはかなりの個人差があります。

一般的な腸内フローラ移植では、同胞近親者の便が使われます。これは主に感染性腸炎を防ぐためですが、近親者の腸内フローラバランスは似ていることが多いので、実際の移植の効果があまり期待出来ません。

当研究会では、腸内フローラバランスの個人差に合わせて、ドナー便を各々選択して、腸内フローラバランスを最適化することによって、成功率を上げています。

症例紹介 5歳 男児 広汎性発達障害

移植をする前と比べて理解力が高まり、待つことができるようになった。会話に関しても言葉が増えて以前よりもスムーズになった。多動も減ってきているが癇癪に関してはムラがある。妹に気後れすることがなくなってきている。4回目から便通が良くなってきた。

移植前後での腸内フローラバランスの変化としては、クロストリジウムⅪが減少して脳の司令に関する組織の炎症の収まりが推測されます。これまでビフィズス菌に頼るしかなかった糖代謝(脳における)が、プレボテラ属の出現により助けられ、脳にも糖が行き渡るようになったと考えられます。