新型コロナと関節炎・リウマチ性疾患

まとめ:新型コロナ感染症、後遺症、ワクチン後遺症と関節炎・リウマチ性疾患との関連性が指摘されています。

新型コロナ感染症は、様々な自己免疫疾患の発症に関与していることが総括されています。(2021, Saad)

新型コロナ後遺症、ワクチン後遺症において反応性関節炎が発症することが報告されています。ワクチンのアジュバンドなどに誘発される自己免疫疾患の関与が推察されています。(2021, Gasparotto)(2021, Kocyigit)(2021, Enginar)

メタ解析で、新型コロナ感染症の発症時または病気の経過全体を通じて、リウマチ性疾患が頻繁に報告されています。新型コロナ後遺症と慢性関節リウマチとの類似性が指摘されています。(2020, Ciaffi)(2022, Sapkota)

新型コロナ後遺症で関節痛を示す患者において、高力価の抗体を伴う抗核抗体(ANA)陽性スクリーニングの罹患率が高く、ANA スクリーニング陽性の患者は関節痛がより強いことが報告されています。(2022, Tamariz)

慢性関節リウマチ患者では、Dダイマーが高くなることが報告されています。(2009, Ideno)

Dダイマーは血栓症だけでなく、悪性腫瘍、感染症、肝硬変、妊娠などでも上昇することが知られています。(2016, Riley)

Dダイマーは、ワクチン後遺症のリスク評価および治療の目安のひとつとして有用です。抗凝固療法はDダイマーが高いほど有効で、Dダイマーが低い場合は抗凝固療法の有効性は低くなります。Dダイマー高値に対して、ACE2を阻害する治療も有効です。(2023, 当ブログ)

ワクチン接種後に、リウマチ免疫媒介炎症性疾患の新たに発症した症例が報告されてます。(2021, Wasad)

ワクチン接種後に、良好にコントロールされていた関節リウマチ症状の再燃が報告されています。(2021, Terracina)

新型コロナワクチン接種後に新たに発症した血清陽性(リウマチ因子と抗CCP抗体)の関節リウマチ患者が報告されています。(2021, Baimukhamedov)(2022, Watanabe)

新型コロナワクチン接種後に新たに発症した関節炎の45例レビューでは、複数関節の関節炎が71.1%、関与する関節症状は、主に関節の腫れ、関節の痛み、可動域の制限などでした。最も一般的な診断は滑液包炎と滑膜炎でした。2 つの非特異的炎症マーカー、赤血球沈降速度 (ESR) と C 反応性タンパク質 (CRP) がほぼすべての症例でモニタリングされ、すべての患者がこれら 2 つのマーカーのさまざまな程度の増加を示しました。新型コロナウイルス感染症ワクチン由来の mRNA が炎症誘発性サイトカイン反応の効果的な誘導物質であり、これらのサイトカインが新型コロナウイルス感染症ワクチン接種後の自己免疫反応を媒介する可能性があると考察されています。(2023, Lui)

メトトレキサートは、最も広く使われている慢性関節リウマチの治療薬です。葉酸を活性型葉酸にする酵素の働きを阻止することにより、核酸合成を阻止し、細胞増殖を抑制しますが、ホモシステインが高くなり心血管リスクが上昇します。これは葉酸の同時投与によって軽減することが報告されています。(2002, Van Ede)(2019, Bullock)

関節と筋肉に痛みを呈する疾患である慢性関節リウマチ、変形性関節症、リウマチ性多発筋痛症や様々な自己免疫疾患などはリウマチ性疾患と呼ばれます。

変形性関節症も、自己免疫経路の重要性が指摘されています。(2016, Robinson)