アトピー性皮膚炎を漢方で改善|論文
まとめ:アトピー性皮膚炎(AD)は中医学では脾虚を病態の中心として、心火、肺気虚、湿熱、風邪、血虚風燥、肝腎不足などが病期に応じて重なる「本虚標実」の疾患と捉えられる。治療は急性期の湿熱・紅斑・滲出には黄連解毒湯(黄連、黄芩、黄柏、梔子)や消風散などによる清熱祛湿・祛風、脾虚湿盛には参苓白朮散(人参、白朮、茯苓、山薬、白扁豆、蓮子、薏苡仁、砂仁、桔梗、甘草)や除湿胃苓湯による健脾祛湿を中心とする。慢性化して乾燥・苔癬化を呈する血虚風燥には当帰飲子(当帰、白芍、川芎、生地黄、何首烏、黄耆、白蒺藜、防風、荊芥、甘草)、肝腎不足には六味地黄丸(熟地黄、山茱萸、山薬、沢瀉、牡丹皮、茯苓)合四妙丸(蒼朮、黄柏、薏苡仁、牛膝)などを用いる。さらに肺衛不固には玉屏風散(黄耆、白朮、防風)、心火脾虚には清心培土法を組み合わせ、「健脾祛湿」を軸に、清熱・祛風・養血潤燥・補肺・補腎を病期と証に応じて加えることで、皮膚炎症だけでなく皮膚バリアを改善し再発を抑えることが、中医によるAD治療の基本的な考え方である。
小児アトピー性皮膚炎(AD)の病機を、風・湿・熱の外邪に加え、心肝火旺、肺脾不足、脾虚湿盛、血虚陰傷、心腎不交、伏邪・絡病などから捉え、特に「脾虚」が病態を通じて重要であるとしている。 治療では健脾祛湿を基本として、参苓白朮散、除湿胃苓湯、培土清心方、四君子湯合導赤散、玉屏風散、加味過敏煎、加味逍遥散、補腎養血煎剤、滋水清心飲、萆薢滲湿湯、黄連解毒湯、麻黄連翹赤小豆湯、当帰飲子、防己黄耆湯、涼血祛湿止痒湯、犀角(水牛角)地黄湯などが報告され、免疫バランスの調節、炎症性サイトカインの抑制、皮膚バリア機能や腸内細菌叢の改善などが作用機序として示されている。 また単味生薬では野菊花、馬歯莧、蒲公英、白鮮皮、苦参、防風、石斛、蘆根、当帰、紫草、白芍などについて抗炎症・止痒・免疫調節作用が検討されている。 なお、本総説本文には各方剤の構成生薬は記載されていないため、構成生薬の併記は原論文からはできない。(2026, 傅桐桐)
アトピー性皮膚炎(AD)の診断・治療に多モーダルAIを導入し、皮疹画像、電子カルテ、舌象、脈象、問診、患者報告などを統合することで、西洋医学的な重症度評価と中医学的弁証の双方を客観化する可能性が示されている。特に中医弁証では、皮疹の色・形態、舌質・舌苔、脈象、瘙痒、食事、二便などを数値化し、風・湿・熱・燥などの証素から、湿熱内蘊、脾虚湿蘊、脾虚血燥、血虚風燥などの証型を判定し、さらに「風湿蘊膚→血虚風燥」といった経時的な証候変化を捉えることが目標とされている。 弁証結果から中医知識グラフを利用して治法・方剤・中成薬・鍼灸などを選択し、患者の兼証や体質に応じて処方を加減するシステムが検討されており、ADの代表的処方として消風散、当帰飲子、竜胆瀉肝湯などが挙げられている。 なお、本論文にはこれら方剤の構成生薬は記載されていないため、原論文に基づく構成生薬の併記はできない。(2026, 胡炜圣)
アトピー性皮膚炎(AD)を中医学的に「四弯風」「浸淫瘡」「奶癬」などに位置づけ、先天禀賦不足、胎毒遺熱、外感風邪、飲食失調による脾虚・湿熱・血燥などを主要病機とし、治療を①健脾祛湿・祛風止痒、②疏風清熱・利湿止痒、③祛風活血・養血潤燥に大別している。 慢性期の脾虚湿蘊には玉屏風散(防風、黄耆、白朮)、固本化湿方(防風、莪朮、金銀花、生地黄、槐花、白朮、薏苡仁、蒼朮)、参苓白朮顆粒(人参、山薬、甘草、白朮、白扁豆、蓮子、薏苡仁、砂仁、桔梗〔※表記上9味〕)、急性期の湿熱浸淫には**消風止痒顆粒(防風、蝉退、炒蒼朮、地黄、地骨皮、当帰、荊芥、亜麻子、石膏、甘草、木通)、清熱祛湿方(蒲公英、白花蛇舌草、蒼耳草、苦参)などが用いられる。 慢性期の脾虚血燥には健脾潤膚湯(党参、丹参、蒼朮、白朮、生地黄、当帰、陳皮、茯苓、赤芍、白芍、鶏血藤)、地黄飲(生地黄、熟地黄、玄参、当帰、蒺藜、牡丹皮、紅花、僵蚕、制何首烏、甘草)、当帰飲子(当帰、白芍、川芎、生地黄、白蒺藜、防風、荊芥穂、何首烏、黄耆、甘草)**などが挙げられ、免疫学的にはTh1/Th2/Th17バランス調節、TSLP・IL-4・IL-13・IL-17などの炎症系抑制、JAK/STATやNF-κB経路の調節に加え、FLG・LOR・IVLなどの発現を介した皮膚バリア修復や皮膚微生物叢の改善が作用機序として示されている。 (2026, 王林儀)
アトピー性皮膚炎(AD)を「四弯風」などに位置づけ、腎精不足・胎毒を発症の根本とし、心火亢盛、脾虚湿蘊、肝郁化火、肺衛不足など五臓の失調から病態を捉えている。特に脾虚はAD遷延の重要病機であり、慢性期には「脾虚致湿、血虚化燥」として健脾養血を重視し、健脾潤膚湯、固本化湿方、参苓白朮散、楂曲消風散などが用いられ、腸内細菌叢や皮膚バリアの改善も報告されている。 また腎からは滋水清心飲、地黄飲、育陰除湿湯、肝からは清心鎮肝湯、加味逍遥散、完帯湯、肺脾からは麻黄連翹赤小豆湯などを用い、気血津液弁証では急性期の血熱郁結に涼血祛湿止痒湯、清熱祛湿方、慢性期の血虚風燥に加味四物消風飲、当帰飲子を用いるなど、病期・臓腑・気血津液に応じた治療が示されている。 さらに三焦弁証では**梔子柏皮湯(梔子、黄柏、炙甘草)や黄連解毒湯(黄連、黄芩、黄柏、梔子)**が取り上げられ、ADだけでなく睡眠・情緒障害、喘息、アレルギー性鼻炎などの共病まで含めた全身的管理を中医薬の特徴としている。 なお、本文で構成生薬が明記されている方剤以外については、構成を一般知識で補わず論文記載に限定した。(2025, 徐佳)
アトピー性皮膚炎(AD)の皮膚バリア障害に着目し、中医薬が表皮蛋白、表皮脂質、タイトジャンクション(TJ)、抗菌ペプチド(AMPs)を多面的に調節してバリア機能を修復することが示されている。 治療原則は、急性期には清熱利湿を主として健脾を兼ね、慢性期には健脾祛湿・養血潤燥を重視する。 具体的には、清熱利湿方(金銀花、白花蛇舌草、土茯苓、烏桕葉)がFLG・LOR・IVLを増加させ、葛根芩連湯や黄連解毒湯もFLG・LORなどの発現を介して皮膚バリアを改善し、潤膚止痒膏(白及、牡丹皮、馬歯莧、甘草)、参苓白朮散、六君子湯、健脾潤膚湯はセラミド増加や経皮水分喪失(TEWL)の低下に関与すると報告されている。 また、清熱除湿湯(竜胆草、黄芩、生石膏、生地黄、大青葉、車前草、白茅根、六一散)や玉屏風散はClaudin-1、Occludin、ZOなどのTJ蛋白を増加させ、皮膚バリア修復に作用する。 このように中医薬は、炎症抑制だけでなくFLGなどの表皮蛋白↑、セラミド↑、TJ修復、AMPs↑という複数経路から皮膚バリアそのものを改善する可能性があり、特に清熱・健脾・利湿薬の関与が重要と考えられている。(2025, 郭宇)
慢性アトピー性皮膚炎(AD)は**「燥邪」が病程を通じて存在すると捉え、潤燥を基本治則として、病機に応じて益気・養血・滋陰・祛痰を組み合わせる治療体系を提示している。 外燥には麻黄連翹赤小豆湯を用い、肺脾気虚による内燥には馬歯莧湯+四君子湯、益肺健脾湯、淮蓮飲(山薬、蓮葉、茯苓、黄連、阿膠、麦門冬、北沙参、玉竹、天花粉、淡竹葉、金銀花、甘草)などで益気健脾・養陰潤燥を図る。 血虚燥には帰苓湯、地黄飲、滋陰除湿湯+桃紅四物湯**、陰虚血燥には六味地黄丸+二至丸、滋陰除湿湯、二妙散+当帰飲子を用い、さらに痰湿を伴う難治例では制天南星、制半夏、山慈菇を中心に、烏梢蛇、天竜、地竜、全蝎、蝉退、野菊花などを加えて祛痰・祛風通絡・止痒を図る。 現代医学的には、こうした「潤燥」治療はFLG・AQP3を介した皮膚バリア修復、Th1/Th2などの免疫調節、JAK/STAT・NF-κB関連炎症経路の抑制、金黄色ブドウ球菌を中心とする微生物叢異常の改善などを介してADを改善する可能性が示されている。 (2026, 趙天秀)
アトピー性皮膚炎(AD)の病機を風湿熱邪、脾虚痰蘊、津虧血虚、脈絡痹阻などから捉え、健脾化湿・清熱解毒・養血潤燥・活血化瘀を主要治則としている。特に小児では「脾虚為本、心火為標」、成人では「脾腎両虚為本、湿邪為標」を重視し、年齢・証候に応じて六味地黄丸、参苓白朮散、丹梔逍遥散などを用いる。 古典方では除湿胃苓湯、黄連解毒湯、地黄飲、柴胡加竜骨牡蛎湯が取り上げられ、除湿胃苓湯は脾虚湿蘊型の症状・皮膚バリア改善、黄連解毒湯はIL-13・IL-31・TSLPなどの抑制、地黄飲はJAK1/STAT3経路の調節による抗炎症・止痒作用が報告されている。 また、心神失調を重視した清心寧神湯、養心安神湯、心火脾虚型に対する培土清心顆粒、皮膚バリア・Th1/Th2/Th17免疫調節を目的とする固本化湿方などの自擬方に加え、牡丹皮、白鮮皮、黄芩、雷公藤、牛蒡子、土槿皮などの単味薬・有効成分、推拿・鍼灸・耳穴・刺絡瀉血・中薬外洗などを組み合わせた総合的な治療が紹介されている。 (2025, 曲婉莹)
小児アトピー性皮膚炎(AD)の主要証型を心脾積熱、心火脾虚、脾虚蘊湿、血虚風燥の4型に整理し、とくに小児では脾胃が未成熟で湿邪を生じやすく、脾虚蘊湿が病程を通じて重要な病機になるとしている。 心脾積熱には三心導赤飲(連翹、梔子、蓮子心、玄参、生地黄、車前子、蝉退、灯心草、甘草、茯苓など)、心火脾虚には**清心培土方(淡竹葉、連翹、灯心草、生地黄、白朮、山薬、薏苡仁、鈎藤、牡蛎、防風、甘草など)を用いて清心・健脾を図る。 脾虚蘊湿には小児化湿湯(蒼朮、茯苓、炒麦芽、陳皮、沢瀉、滑石、甘草、白朮、薏苡仁など)を用い、滲出が強ければ萆薢、茵陳、馬歯莧を加え、脾虚津傷燥勝には七味白朮散を用いる。血虚風燥には当帰飲子(黄耆、生地黄、熟地黄、白芍、当帰、川芎、何首烏、白蒺藜、荊芥、防風など)を基本とし、乾燥が強ければ沙参、麦門冬、石斛を加味する。 また外治では養陰解毒外洗方(金銀花、大黄、苦参、青蒿など)や除湿止痒軟膏(蛇床子、白鮮皮、苦参、黄連など)**のほか、臍療、耳穴、推拿などを組み合わせ、内外から治療する方法が紹介されている。(2025, 肖晓琳)
アトピー性皮膚炎(AD)とうつ病は相互に増悪し、遺伝的素因、免疫炎症反応、HPA軸を中心とする神経内分泌異常、腸内細菌叢の失調を共通病態として有すると整理している。 中医学的にはADを脾肺気虚・心火亢盛を中心とする本虚標実と捉え、ADとうつ病の併存では早期は心火脾虚・肝気不舒、中期は肝気結滞・脾虚湿郁、後期は肝脾腎三臓虧損へ進展すると考え、臓腑弁証に基づく補虚瀉実・疏肝調神を重視する。 中薬では牡丹皮―梔子薬対、人参皂苷Rg1、芍薬苷、白鮮碱、黄芪甲苷、黄芩苷、柴胡皂苷などが、炎症性サイトカインや神経炎症、5-HT・NEなどの神経伝達、HPA軸に作用する可能性が示され、さらに黄連、芍薬苷、茯苓総トリテルペン、甘草苷、五味子素、管花肉蓯蓉抽出物は腸内細菌叢を調節し、腸―脳―皮膚軸を介して両疾患へ作用する可能性が論じられている。 したがって中医薬は、ADの皮膚炎・瘙痒と抑うつを別々に扱うのではなく、**免疫―神経内分泌―腸内細菌叢を多面的に調節する「異病同治」**として有望だが、ADとうつ病の併存そのものを対象とした中薬複方・中薬成分の臨床試験はまだ不足している。(2025, 趙玉磊)
小児アトピー性皮膚炎(AD)を風・湿・熱、とくに湿熱が三焦に瀰漫して気機を阻滞する病態として捉え、辛開苦泄・淡滲利湿などにより上・中・下焦から湿熱を分消する「分消走泄法」を治療の基本としている。臨床では、風邪偏盛には分消走泄・祛風除湿として健脾祛風湯(蒼朮、陳皮、茯苓、荊芥、防風、羌活、木香、烏薬、生姜、大棗など)、湿熱・血熱には涼血祛湿止痒湯(水牛角、苦参、生薏苡仁、白茅根、地膚子、沢蘭など)や加減除湿胃苓湯、熱邪偏盛には清熱止痒顆粒(人工牛黄、琥珀、甘草エキス)を用いる。 とくに脾胃運化失調によって生じた湿・痰が三焦の気機を阻害することを重視し、単なる清熱利湿ではなく、宣上・暢中・滲下によって三焦を通調し、必要に応じ健脾・祛風・涼血を併用することが小児ADの再発予防につながると考察している。現代医学的には、この治法による効果は免疫調節、炎症性サイトカインの抑制、皮膚バリア機能の改善などと関連する可能性が示されている。 (2024, 顧勝男)
アトピー性皮膚炎(AD)の病機を脾土不足を枢、心火偏盛を機、風湿熱を標として捉え、年齢・病期に応じて乳児期の胎毒遺熱・火鬱肌膚、小児期の脾失健運+心火亢盛による湿熱、青年・成人期の脾虚・気血不足から血虚風燥へ変化するとしている。 治療では脾胃を重視し、馬歯莧湯+四君子湯、健脾助運方、参苓白朮散を用い、発作期の心火脾虚には連苓湯、寛解期の血虚風燥には帰苓湯、さらに培土清心方や肺脾同治法を用いる。 外邪では「伏風」を重視し、急性期には消風散で清熱祛湿・疏風止痒、遷延期には当帰飲子または四物消風飲で養血祛風し、小児化湿湯、升陽散火湯、升陽益胃湯による透散伏邪・調理脾胃も行う。 また、急性期を気分湿・血分熱→涼血祛湿止痒、慢性期を血虚津虧→養血生津潤燥として涼血祛湿止痒湯や当帰飲子加味を用いるほか、六経弁証では麻杏石甘湯、越婢湯、五苓散、真武湯、苓甘五味姜辛夏杏湯、三焦弁証では乳児期は上焦、小児期は中焦、成人期は下焦を中心に治療するなど、臓腑・外邪・気血津液・六経・三焦・衛気営血を組み合わせた多面的な弁証論治が提唱されている。 なお、本総説本文には各方剤の完全な構成生薬は記載されていないため、構成は補完していない。(2024, 邬宁馨)
ADを五臓機能失調を本、風・湿・熱邪を主要な標と捉え、年齢による病機の変化に応じて4期に分けて治療する。 乳児期は胎毒遺熱・心火偏盛として清解胎毒・瀉心火を行い、黄連・淡竹葉・夏枯草を基本とし、薬浴(苦参、黄柏、大黄)を併用する。 小児期は脾土不足・湿邪内侵+肺気虚弱を中心に健脾益肺・利湿止痒を行い、参苓白朮散加減(太子参、茯苓、白朮、薏苡仁、山薬、桔梗、蓮子、地膚子、白鮮皮、甘草など)を用いる。 青年・成人期は肝腎不足+風湿熱邪を病機として平補肝腎・清熱利湿を行い、六味地黄丸合四妙丸加減(熟地黄、山薬、山茱萸、沢瀉、茯苓、牡丹皮、蒼朮、黄柏、薏苡仁、牛膝など)を用い、情志不暢を伴う場合には疏肝理気・調暢情志も重視する。 老年期は肝腎不足・血虚風燥・肌膚失養として滋補肝腎・養血潤膚を行い、**当帰飲子合玉屏風散加減(当帰、川芎、白芍、生地黄、何首烏、防風、荊芥、黄耆、蒺藜、白朮、甘草など)**を使用する。 さらに各期で薬浴、塌漬、黄連紫草膏、刮痧、火鍼などの外治を組み合わせ、乳児=清心火・除胎毒、小児=健脾益肺、青年・成人=補肝腎・清湿熱、老人=滋補肝腎・養血潤膚という年齢に伴う病機変化に応じた分期論治を提唱している。(2022, 張冰)
ADを中医体質の偏りと発症後の証型を組み合わせて「辨体+辨証」することを提唱しており、AD患者では特禀質、気虚質、陰虚質、肺脾質・脾腎質などの偏頗体質が多いものの、地域差や調査法、症例数の問題から「ADに特異的な体質」はまだ確定できないとしている。 体質調整では、特禀質に蝉衣・無柄霊芝・烏梅・制何首烏、気虚質に補中益気丸、陰虚質に六味地黄丸合大補陰丸(亀板、熟地黄を重視)、血瘀質に血府逐瘀湯(桃仁、紅花、延胡索、鶏血藤など)を挙げ、発症時の辨証治療に調体薬を加え、寛解時にも偏頗体質を是正して再発予防につなげる「治未病」を重視している。 ADそのものの辨証では、急性期=湿熱蘊膚・血熱として涼血祛湿止痒湯、亜急性期=脾虚湿蘊として加減除湿胃苓湯や健脾益腸方、慢性期=血虚風燥として健脾養血祛風湯を用い、とくに「脾虚」を全病程に共通する重要病機として健脾祛湿を重視する。 また瘙痒―搔破の悪循環には情志の影響も大きいとして柴胡、川芎、鬱金、香附などによる疏肝調気を加え、食事・薬膳・運動・情志調節まで含めて体質を改善することで、**「治已病」だけでなく再発しにくい体質への「治未病」**を目指すことが本論文の特徴である。 (2021, 高俊生)
ADの病因病機を禀賦不耐・胎毒遺熱・外感風湿熱邪・飲食失調を背景に、心火偏盛と脾虚失運を中心病機と捉え、乳児期は心火、児童期は心火と脾虚、青年・成人期は血虚風燥・肌膚失養が主体になるとしている。辨証論治では、湿熱蘊結証に竜胆瀉肝湯、脾胃虚弱証に除湿胃苓湯、血虚風燥証に当帰飲子、気滞血瘀証に桃紅四物湯を用い、年齢別には乳児の風熱挟湿に荊防湯、小児の湿熱蘊盛に消風導赤散、脾虚湿蘊に健脾除湿湯、成人の血虚風燥には熟地黄、生地黄、麦門冬、当帰、赤芍、白芍、鶏血藤、防風、荊芥、蝉衣、胡麻仁、烏藤、白蒺藜、大棗などを用いる。 とくに「脾虚」を主要病機として、**加味馬歯莧湯(馬歯莧、南沙参、白朮、茯苓、炒梔子、牡丹皮、竜骨、生牡蛎、合歓皮、山薬、甘草)**による健脾安神法、健脾養血祛風方(黄耆、白芍、刺蒺藜、炒白朮、当帰、防風、蜈蚣)、**清心培土方(生地黄、水牛角、連翹、灯心草、太子参、山薬、薏苡仁、鈎藤、牡蛎、防風、甘草など)**が紹介されている。 また健脾潤膚湯(党参、茯苓、蒼朮、白朮、当帰、生地黄、丹参、鶏血藤、赤芍、陳皮など)、玉屏風顆粒、当帰飲子などの内服に加え、中薬浴・外洗、金黄膏、刮痧、梅花鍼・抜罐、鍼灸との併用も報告され、健脾を軸として清心・祛湿・養血祛風を病期・年齢に応じて組み合わせ、内治・外治・鍼灸を統合することが中医AD治療の特徴とまとめられている。 (2020, 賈金靖)
ADの中医病機を禀賦不耐・胎毒遺熱・外感淫邪・飲食失調を背景に、心火過盛・脾虚失運から発症すると捉え、治法は養血潤燥、活血祛風、清心導赤、健脾滲湿を基本としている。 内服では育陰化湿湯が慢性ADでIL-4、IFN-γを改善し、健脾祛風湯はTh1/Th2バランスを調節してIgE・好酸球などを改善するとされ、さらに生黄耆、熟地黄、生地黄、白朮、党参、山薬、薏苡仁、白鮮皮、地膚子、茯苓、蒼朮、当帰、苦参、僵蚕などによる健脾益気・祛湿清熱・解毒止痒の治療で再発率低下が報告されている。 小児では健脾潤膚膏方(防風、神曲、白芍など20味)が皮疹・瘙痒を改善し、外治として臍敷(黄柏、苦参、防風、当帰、蜂蜜)、さらに薬浴(白鮮皮、黄柏、威霊仙など9味)が紹介され、内服だけでなく皮膚局所への治療を組み合わせることを重視している。 中薬の作用機序は抗菌・抗炎症、抗アレルギー、免疫調節と整理され、内服方剤は個々の病態に応じた組方が可能で、外用軟膏・薬浴・湿敷は皮疹や瘙痒に直接作用するため即効性が期待されるとしている。 本論文は、ADではとくに脾胃失調・湿を重視し、健脾益気・祛湿清熱を軸に、養血潤燥・祛風止痒を組み合わせ、内服+外治を統合する治療が有用とまとめている。なお、育陰化湿湯・健脾祛風湯などの完全な構成生薬は本論文には記載されていない。(2020, 汪新体)
ADの核心病機を先天禀賦不耐・胎毒遺熱を背景とした脾肺気虚・心火亢盛を本とし、外感風湿熱邪を標とする「本虚標実」と捉え、健脾利湿・清熱祛風を基本治法としている。 辨証では、脾虚湿盛に運脾化湿清肺湯(陳皮、枳殻、桑葉、菊花、金銀花、黄芩、土茯苓、白鮮皮、白朮、生甘草)や健脾潤膚湯(党参、茯苓、蒼朮、白朮、当帰、生地黄、丹参、鶏血藤、赤芍、白芍、陳皮)、湿熱蘊結に解毒潤膚湯(土茯苓、生地黄、赤芍、牡丹皮、金銀花、連翹、車前子、石膏、知母、白鮮皮、地膚子、白扁豆、茯苓、白朮、甘草、鶏血藤)を用いる。 血虚風燥には健脾養血祛風湯(茯苓、炒白朮、白扁豆、薏苡仁、当帰、黄耆、大血藤、荊芥、防風、僵蚕、白鮮皮、蒼朮、萆薢、黄芩、生甘草)、気滞血瘀には膈下逐瘀湯加減(柴胡、赤芍、青皮、陳皮、当帰尾、桃仁、紅花、川楝子、牛膝、烏蛇肉、刺蒺藜、生甘草など)が紹介されている。 また陰虚血熱には増液湯合犀角地黄湯加減、陰虚血燥には二妙散合当帰飲子加減、湿熱・血虚風燥には竜牡湯(竜骨、煅牡蛎、骨砕補)加減を用い、年齢別には乳児期=清心火・解胎毒、小児期=荊防止痒湯による祛風止痒・利湿健脾、青年・成人期=消風散加減による養血潤燥・安神・利湿・疏肝を重視する。 外治では中薬軟膏、鍼灸、薬浴、刺絡抜罐を併用し、ADを単なる「湿熱」の皮膚病としてではなく、脾肺気虚を基盤に、湿熱・血虚風燥・瘀血へ展開する病態として辨証することが本論文の特徴である。(2019, 林歓児)
ADの発症を中医の**「肺主皮毛」理論から考察し、肺は宣発作用によって衛気や水穀の精微を皮毛へ輸布し、肌膚を濡養するとともに腠理・汗孔の開闔を調節して外邪を防御するとしている。 肺気・肺衛が虚すれば津液や栄養物質を皮膚へ十分に輸布できず、皮膚乾燥・落屑・瘙痒を生じ、搔破を繰り返して肥厚・苔癬化へ進むと説明され、これはAD慢性期の皮疹と一致することから、ADを「肺」から治療する理論的根拠になるとしている。 一方、皮毛・腠理の固護機能が低下すると風邪などの外邪が侵入して肺に及びやすく、小児では肺虚脾弱・腠理不固・衛表不固を基盤に風邪が侵入し湿熱と相搏してADを発症し、さらに鼻炎・喘息などの肺系アレルギー疾患を併発しやすいという双方向の「肺―皮毛」関係を重視している。 治療面では解表と宣肺を組み合わせ、肺経に関連する辛夷、蒼耳子、枇杷葉、桑葉、麦門冬、北沙参**などの使用や、鍼刺・刺絡抜罐による肺からの治療が紹介されており、ADでは従来の心・脾・湿熱だけでなく「肺気虚→衛表不固→皮毛失養→外邪侵入」という病機を考慮することが重要と結論づけている。 (2017, 柳文紅)
ADを皮膚バリア障害の観点から捉え、角層セラミドの減少や角層菲薄化によって経皮水分喪失(TEWL)が増加し、刺激物・アレルゲンが侵入しやすくなることが、皮膚乾燥・過敏性・炎症につながるとしている。中医学ではADの主要証型を脾虚およびその兼証、湿熱蘊結、血虚風燥とし、とくに「脾虚」と皮膚バリア障害の関係を重視する。すなわち、脾虚→水穀精微の化生・輸布不足→肺の宣発・布散低下→皮膚が濡養されず腠理不密・衛外不固→皮膚バリア低下という病機を提示し、「健脾によって固表し、皮膚バリアを修復する」という治療理論を示している。 実際に健脾養血祛風法ではTEWL・皮脂の改善が対照群より速く、動物実験でも皮膚セラミド増加が報告され、参苓白朮散にも表皮セラミドを増加させバリア機能を改善する作用が示されているほか、血虚風燥には十皮湯による皮膚バリア修復効果が報告されている。 西洋医学的にもセラミドを中心とした保湿剤によるバリア修復を基礎治療とし、十分な保湿によって瘙痒・再発を抑え、外用ステロイド量を減らすことが重要とされる。 本論文の特徴は、「脾虚→皮膚バリア障害」という中医病機を、TEWL・皮脂・セラミドという現代医学的指標と結びつけ、健脾養血祛風によるバリア修復をAD治療の中心に位置づけた点にある。なお、本論文には健脾養血祛風方・参苓白朮散・十皮湯の具体的な構成生薬は記載されていない。(2015, 康潤芳)
ADの病機を先天不足・禀賦不耐を基礎に、脾失健運による内湿と外感風湿熱邪が肌膚に鬱滞して発症し、慢性化すると陰血を耗傷して血虚風燥・肌膚失養に至る「本虚標実」と捉え、とくに脾虚は全病程を貫く基本病機と位置づけている。 治療では健脾を軸とし、湿熱蘊毒には清瘟敗毒飲合黄連解毒湯加減(黄連、黄柏、黄芩、梔子、牡丹皮、生地黄、金銀花、連翹、生石膏、知母、蒲公英、紫花地丁、玄参、枳殻、生甘草)、湿熱血燥には冬地三黄湯合消炎解毒湯加減(麦門冬、黄連、玄参、黄柏、金銀花、生地黄、黄芩、天花粉、木通、当帰、赤芍、淡竹葉、青皮、蒲公英、紫花地丁、甘草)、脾虚には健脾滲湿顆粒(党参、白朮、茯苓、薏苡仁、沢瀉、陳皮、甘草など)を用い、健脾除湿を各証型に一貫して取り入れることを重視している。 また清心培土法では四君子湯の健脾培土と導赤散の清心導赤を組み合わせ、慢性・虚証では補腎養血煎(山薬、何首烏、白朮、茯苓、当帰、生地黄、苦参、薏苡仁、白鮮皮、蝉蛻、防風)、血瘀・血虚風燥には活血祛風湯(当帰、白鮮皮、知母、桃仁、川芎、黄耆、荊芥、白芍、牡丹皮、甘草)などを用いる。 さらに消風散などの臨床試験では皮疹・瘙痒・睡眠やQOLの改善、外用ステロイド使用量の減少が報告され、作用機序としてTh1/Th2バランス、IgE、IL-4・IL-5・IL-13などの免疫炎症系の調節も検討されている。一方、著者らは辨証体系の不統一や質の高いGCP準拠試験の不足を指摘し、**「健脾を基本に、清心・祛湿・養血・補腎・活血祛風を病期に応じて組み合わせ、長期的な再発抑制を目指す」**ことを今後の重要課題としている。 (2013, 劉俊峰)

