農薬の無視できない問題
まとめ:海外で禁止されている除草剤のパラコートは日本では未だに使用されています。戦後に増えつつある神経変性疾患の原因のひとつです。
パラコートを含有する除草剤は、世界的には1962年、日本では1965年から発売されています。(日本中毒学会)
ラットにおける長期パラコート投与によってドーパミン作動性中皮質ニューロンの変性および代償プロセスの活性化を介してパーキンソン病を誘発することが報告されています。(2006, Ossowska)
パラコートは、2004年から行われてきた裁判の結果、2007年の判決によって、EUでの使用が禁止されています。英国では、ハダースフィールドにあるシンジェンタの工場でグラモクソンというブランド名で製造されており、米国、日本、オーストラリアなどの国に輸出されています。輸出の5分の1は発展途上国に向けられています。(BBCニュース。2022年4月1日閲覧)
台湾では2019年、中国では2020年から使用が禁止されています。
パラコートとロテノン(農薬、殺虫剤)が、ケースコントロール研究で対照群に比べて約2.5倍のリスクでパーキンソン病を発症することが報告されてます。(2011, Tunner)
ロテノン慢性曝露は中枢神経系,末梢消化管神経系にパーキンソン病様の病態をもたらすことから,モデル動物作製に用いられています。(2017, Miyazaki)
パラコートは、プロテアソームおよびオートファジー経路の阻害を介して、マウスの線条体にタウオパチーおよびシヌクレイノパチーを誘発することが報告されています。(2012, Willis)
合計104 件の研究によるメタ分析の結果、農薬または溶剤への曝露がパーキンソン病の危険因子であることが報告されています。(2013, Pezzoli)
3,231人の患者と 4,901人の対照を含む13件の症例対照研究によるメタアナリシスは、パーキンソン病とパラコート暴露との関連を示しました (オッズ比 = 1.64 (95% CI: 1.27–2.13; I 2 = 24.8%)。(2018, Tangamornsuksan)