イベルメクチンの国内治験失敗

令和4年9月27日に興和株式会社からリリースがありました。

軽症の新型コロナウイルス感染症患者1030例を対象とした臨床試験で、168時間まで観察した臨床症状の有意な改善は認められませんでした。安全性は確認されました。

イベルメクチンの作用機序は、主にACE2受容体を介するものです。デルタ株の入り口はACE2でしたが、オミクロン株はACE2ではなく喉のシアル酸に結合するのど風邪に変化したために、イベルメクチンの効果が発揮しにくかったのかもしれません。

軽症例の新型コロナウイルス感染症であれば、特に積極的な治療を行わない対照群でも、臨床症状の改善が見られたと想像します。

コロンビアでの476人を対象とした軽症例の治験でも、イベルメクチンは有意差が出ませんでした。(2021, López-Medina)

新型コロナによる肺炎を対象とした19の論文のメタアナリシスでは有効性が指摘されています。(2022, Hariyanto)

イベルメクチンの新型コロナに対して有効性を見いだせなかった過去の総論(2022, Marcolino)でも、安全性は報告されており、この点は評価出来ます。