アジスロマイシン
まとめ:抗生物質のアジスロマイシンは、抗ウイルス作用を持つことから新型コロナ感染症に使われています。イベルメクチンと同様に広い抗ウイルス作用が期待出来ます。作用機序と副作用は、ヒドロオキシクロロキニンによく似ています。
アジスロマイシン(azithromycin)は、長い半減期と広域スペクトルを持つ抗生物質で、広範囲の細菌およびマイコバクテリア感染に使われています。イベルメクチンと同様に12以上の原子から構成される大環状のラクトンを有する有機化合物のマクロライド系抗生物質です。
アジスロマイシンは、新型コロナウイルスをはじめインフルエンザ、HIV、エボラ出血熱など様々なウイルスに対する抗ウイルス作用があり(2020, Oliver)、新型コロナ感染症に使われています。(2021, Echeverría-Esnal)
エンドソームの成熟と機能には酸性環境が必要です。アジスロマイシンは弱塩基であり、優先的にエンドソーム小胞およびリソソームに細胞内に蓄積するため、pH レベルが上昇し、リソソームからのエンドサイトーシスおよび/またはウイルスの遺伝子脱落を潜在的にブロックし、それによってウイルスの複製を制限します。(2002,Tyteca)
新型コロナウイルス感染症に対してヒドロオキシクロロキニンと併用で使われて、相乗効果が示唆されています。(2020, Gautret)
■アジスロマイシンの問題
副作用としてQT延長症候群が報告されており、心臓突然死のリスク増加と関連が指摘されています。(2012, Ray)
QT延長のリスクを高める第一の要因は低カリウム血症(2022, Shiabone)で、次が低マグネシウム血症です。これらは、患者の血清レベルに基づいて補正することが推奨されます。(2022, Shohna)
薬剤性のQT延長症候群に対して、βブロッカーの有効性が指摘されています。(2020, Heriansyah)
アジスロマイシンのオートファジーの阻害作用が報告されています。(2011, Renna)(2020, Tanaka)