肝硬変

まとめ:肝硬変では血小板減少、アルブミン低下、ビリルビン上昇などが起こってきます。肝臓がんの腫瘍マーカーのチェックが必要です。

肝硬変が進むつれて、血小板、白血球数が減少してきます。これは、肝臓の繊維化、いわゆる硬くなることで肝臓内に流入する門脈の血流が減少する一方で、門脈圧が亢進して脾臓への血流が増加することが原因です。

脾臓の機能は、血小板、白血球、赤血球の分解を行います。脾への血流が増加することで、脾臓の機能が亢進し、血小板、白血球の分解が進み、減少して行きます。
一般の臓器の血流は、流入経路は動脈、流出経路は静脈ですが、肝臓には、肝動脈以外に門脈という流入経路がもう一つあり、この血流の変化が血小板、白血球の減少をもたらします。特に血小板が18万未満の場合は要注意です。

肝硬変が重度になるほど、発がんリスクが高くなってきます。

AFPなどの肝臓がんの腫瘍マーカーが高くなってきますので、定期的な腫瘍マーカーの検査が推奨されています。肝硬変では、腫瘍マーカーも上がってくるので、高いからと言って肝臓がんがあるとは限りません。

肝硬変の重症度の分類として、Child-Pugh分類があります。肝臓の残存機能を評価します。

血清アルブミンは、肝細胞のみで作られ血液中に存在しています。何らかの異常で肝機能が低下すると、肝臓のアルブミンをつくる能力が低下するため、血液中の数値が下がります。

ビリルビンは赤血球に含まれるヘモグロビンの構成物であるヘムの分解代謝物です。赤血球は約120日の寿命を終えると、脾臓で分解されてビリルビンが出現してきます。これは水に溶けにくい間接ビリルビンであり、アルブミンと結合して、肝臓に運ばれて、グルクロン酸抱合を受けて、水に溶けやすい直接ビリルビンとなり胆汁の成分の一部として、胆管に放出されます。

肝硬変では、ビリルビンの胆管への放出が出来なくなり、血管に漏出してビリルビンが高値になります。

肝臓で作られる血液凝固因子が低下するため、凝血しにくくなり、プロトロンビン時間が延長して、プロトロンビン活性値が低下します。

アンモニアは、腸内細菌で産生されますが、肝硬変では分解が低下するため血液中に増加して、肝性脳症になります。

コリンエステラーゼはコリンエステルをコリンと有機酸に分解する酵素で、肝臓でのみ作られるタンパク質であり、肝硬変では低下します。