うつと疲労のエキス剤の生薬分析

黄連解毒湯は、清熱作用を持つ黄連、黄柏、黄芩、山梔子だけで構成されています。上中下の三焦に実熱火毒が充満している状態、つまり冷えがない全身ののぼせに使います。熱毒が心神を撹乱した狂躁・不眠にも有効です。山梔子の長期使用は、腸間膜静脈硬化症のリスクがあります。

柴胡加竜骨牡蛎湯と桂枝加竜骨牡蛎湯は、重鎮安神作用を持つ竜骨と牡蛎を含んでいます。柴胡加竜骨牡蛎湯は、肝気が鬱滞した肝鬱気滞から、さらに熱化して肝火、心火となった神経系の興奮(心肝火旺)、症状としてはヒステリー、イライラ、神経過敏に使います。疎肝解鬱を持つ柴胡が大きな特徴です。

桂枝加竜骨牡蛎湯は、補益作用を持つ桂枝、芍薬、甘草を含むことから柴胡加竜骨牡蛎湯が実証に用いられるのに対して、虚証にも使われるとされています。虚証の精神症状(不眠、不安、神経過敏)に使います。

四逆散は、疎肝解鬱の柴胡と芍薬を含み肝気鬱結の強力な処方です。

抑肝散と抑肝散加陳皮半夏は、平肝熄風の釣藤鈎が君薬です。肝気の高ぶり(肝陽上亢)を抑える処方です。肝陽上亢が過度になると、肝風内動となりイライラ、せっかち、回りくどい、小さなことにこだわるとなります。

抑肝散に、行気と健脾の陳皮を加えた抑肝散加陳皮半夏は、気滞と胃腸症状のある人に使います。

竜胆瀉肝湯は、のぼせに加えて、怒りっぽい、イライラなどの精神症状を伴う肝火上炎に対して使います。

甘麦大棗湯は、君薬は小麦で、涙が止まらないなどの情動失禁に使います。

半夏厚朴湯は、咽喉頭異常感の梅核気に使います。

柴胡桂枝乾姜湯は、虚証の神経系の興奮(心肝火旺)、症状としてはヒステリー、イライラ、神経過敏に使います。

加味逍遙散は四逆散と同じ疎肝解鬱の柴胡と芍薬を少量含み肝気鬱結に有効です。さらに疎肝解鬱に加えて、健脾と清熱作用を持ちます。

四物湯は、血虚の基本処方です。血虚肝鬱に使います。

酸棗仁湯は君薬が養心安神の酸棗仁と補益剤で構成されており、神経疲労、不眠に使われます。

六君子湯は、脾胃気虚を改善する四君子湯に、行気と健脾の陳皮を加えて、胃腸症状と軽度のうつ症状のある人に使います。

帰脾湯加味帰脾湯は、心脾気血両虚を改善する処方で、虚証の人に使います。

加味帰脾湯は、帰脾湯に行気と疎肝鬱解の柴胡を加えた処方で、心脾気血両虚に加えてイライラやうつのある人に使います。

補中益気湯は、三焦の中焦である脾胃を改善します。補脾、補益剤で構成されています。疲れて胃腸、手足が垂れ下がっている人に使います。

十全大補湯人参養栄湯は、気血両虚、虚寒の人に使います。

人参養栄湯は、十全大補湯に行気と健脾の陳皮を加え、気血両虚、虚寒に加えて気滞と胃腸症状のある人に使います。