咳・痰に使うエキス剤の生薬分析
悪寒を感じる寒証には、散寒作用を持つ生薬を含む葛根湯、小青竜湯、参蘇飲を使います。熱感を感じる熱証には、清熱作用のある生薬を含む方剤(青字)を使います。
乾性咳嗽(空咳、痰が切れない、痰が粘調)には、滋陰薬を含む麦門冬湯、滋陰降火湯、清肺湯を使います。
乾性咳嗽の急性期は麦門冬湯、慢性期は麦門冬湯か滋陰降火湯か清肺湯を使います。滋陰降火湯は陰虚の基本処方で、陰虚の人に使います。
清肺湯も慢性期に使いますが、肺陰虚と肺熱に特化した処方で、乾性咳嗽と微熱が適応です。
湿性咳嗽の急性期は麻杏甘石湯か小青竜湯、慢性期は竹茹温胆湯を使います。
乾性咳嗽 | 湿性咳嗽 | |
急性期 | 麦門冬湯 | 麻杏甘石湯、五虎湯、小青竜湯 |
慢性期 | 麦門冬湯、滋陰降火湯、清肺湯 | 竹茹温胆湯 |
麻杏甘石湯は、湿性咳嗽と微熱が適応です。さらに、咳が著しい場合は五虎湯を使います。
小青竜湯は、解表(寒邪を追い出す)と利水作用から、鼻水、痰、膝関節症の水膨れなどに使います。
麻黄を含む麻杏甘石湯、小青竜湯、葛根湯は原則的に短期使用です。
竹茹温胆湯は、慢性期の呼吸器症状に加えて精神症状がある場合に使います。
柴朴湯は気滞の処方ですが、小柴胡湯と半夏厚朴湯を合わせた処方なので痰の詰まりに有効です。
参蘇飲は、胃弱の人の長期化した咳・痰に使われます。総合感冒剤です。