新型コロナ後遺症と感覚異常

新型コロナ感染症や後遺症では、ヒリヒリ、チクチク感、しびれ、かゆみ、ムズムズ、電気ショック、締めつけられるような痛みなどと表現される感覚異常がよく報告されています。部位は手と足で対称的に起こることが多いことが指摘されています。この感覚異常の病因は完全には明らかではないが、ギラン・バレー症候群（GBS）で起こると考えられているプロセスに類似した、感染後急性神経障害またはウイルス感染後の自己免疫現象の一形態を示している可能性が推定されています。(2022, Abrams)

新型コロナ後遺症では、最も多い症状は疲労であり、次が知覚異常と痛みであるという報告があります。この知覚異常は、心拍数の検査結果から副交感神経系の過緊張との関連が指摘されています。(2023, López-Galán)

新型コロナ後遺症で見られる症状としては、疲労が一般的であり、それ以外には認知障害、睡眠障害、感覚異常などが指摘されています。(2022, Pinzon)

新型コロナウイルス感染症ワクチン接種後のギラン・バレー症候群の変異型として遠位感覚異常を伴う両側性顔面筋力低下が報告されています。末梢神経に対する自己抗体による自己免疫疾患の可能性が指摘されています。(2022, Kim)

ギラン・バレー症候群の前駆症状として感冒症状が見られる。これらの症状は通常は神経症状出現の1〜3週間ほど前に認められる。全例の約3分の2で先行感染が認められます。

症状の程度は様々だが、運動神経の障害が主で初発症状は下肢の筋力低下から起こることが多い。その後、下肢から体幹部に向かい左右対称性に筋力低下や麻痺が上行する。四肢麻痺は、遠位筋に強く現れる。呼吸筋の麻痺が発症すると人工呼吸器により呼吸管理が必要となることがある。運動神経の障害が主であるが、軽度の感覚神経障害も発症する。特に異常感覚や神経因性疼痛が多く支持療法が必要となることも多い。一般的には予後は良好です。

新型コロナワクチン接種後のギラン・バレー症候群の変種である感覚異常を伴う両側顔面麻痺の９例が報告されています。その内４名では、抗ガングリオシド抗体（末梢神経に対する自己抗体）が陽性でした。(2022, Castiglione)