消渇（糖尿病）の中医治療
rainafterfine消渇とは、西洋医学で言う糖尿病のことです。
消には、①消痩、②消耗の2つの意味があります。消渇とは、渇いて多飲・多食・多尿すると返って痩せていく病証を指します。これを三多、消痩と言います。
病理変化は陰虚燥熱で、本証は陰虚、標証は燥熱である。初期は燥熱で、進行すると陰虚＋燥熱となります。治法は、清熱潤燥、養陰生津。
肺・脾胃・腎の三蔵が関係するが、腎が最も重要。
| 病位を分けて治療 | 症状 | 病位 | 弁証 | 治法 | |
| 上消（軽症） | 多飲、消穀善飢（食べても即空腹）、頻尿多尿、尿黄濁る、痩身（穀気が下泄して小便） | 肺 | 肺胃燥熱 | 白虎加人参湯 | 知母、石膏、灸甘草、粳米（養胃）、人参 |
| 中消（重症） | 多食＋大便燥結、消穀善飢（食べても即空腹）、頻尿多尿 | 脾胃 | 腸燥津傷 | 増益承気湯 | 玄参、麦門冬、生地黄、大黄、芒硝 |
| 下消（危重） | 多尿、皮膚乾燥（→湿疹）、腰膝酸軟 | 腎 | 肝腎陰虚 | 六味地黄丸 | 熟地黄、山茱萸、山薬、沢瀉、牡丹皮、茯苓 |
| ＋陰虚火旺、骨蒸潮熱、盗汗 | 加 知母、黄柏 | ||||
| 治療効果を高める | 合 生地黄飲子 | 人参、黄耆、生地黄、熟地黄、石斛（せっこく、滋陰）、天門冬、麦門冬、枳穀（きこく、行気、清熱化痰）、枇杷葉（びわよう、止咳平咳）、沢瀉、甘草 | |||
| ＋寒がり | 陰陽両虧 | 金匱（き）腎気丸 | 乾地黄、山薬、山茱萸、沢瀉、茯苓、牡丹皮、桂枝、炮附子 | ||
| ＋便溏（軟便、粥、軽症） | 脾胃気虚 | 七味白朮散 | 人参、茯苓、炒白朮、藿香葉、木香、甘草、葛根 | ||
| ＋脘腹痞悶（かんぷくひもん、腹がつかえ悶え苦しむ） | 湿熱中阻 | 黄芩滑石湯 | 黄芩、滑石、猪苓、茯苓、大腹皮、白豆蔲（びゃくずく、行気）、通草（つうそう、利水） |
併発証
| 瘀血証 | 降糖活血方 | 丹参、川芎、益母草、当帰、赤芍、白芍、木香、葛根 | |
| 癰（よう）疽 | 出来物（毛包における深在性細菌感染症） | 五味消毒飲 | 金銀花、野菊花、蒲公英（たんぽぽ）、紫花地丁（すみれ）、紫背天葵子（しはいてんきし） |
| 白内障 | 明目地黄丸 | 熟地黄、生地黄、山薬、沢瀉、山茱萸、牡丹皮、柴胡、茯神、当帰身、五味子 | |
| 労咳 | 乾咳少痰 | 百合固金湯 | 生地黄、熟地黄、麦門冬、百合（びゃくごう、滋陰）、炒芍薬、当帰、貝母、生甘草、玄参、桔梗 |
| 泄瀉 | 下痢 | 理中湯 | 人参、乾姜、灸甘草、白朮 |
| 水腫 | 四肢の浮腫、腹部の膨張 | 済生腎気丸合真武湯 | 熟地黄、茯苓、沢瀉、山茱萸、山薬、車前子、牡丹皮、肉桂、牛膝、炮附子 合 生姜、芍薬、白朮 |
| 肢体麻木 | フワフワした絨毯の上を歩く感じ | 黄耆六一湯合四物湯 | 黄耆、灸甘草 合 当帰、川芎、白芍、熟地黄 |
| 虚脱 | 煩躁不安、意識混迷 | 生脈散＋酸棗仁・竜骨・牡蛎・小麦 | 生脈散（人参、麦門冬、五味子） |
