ふるえ（顫証）の中医治療

手足、頭部、四肢が揺れ動き、ふるえる症状は、中医学では顫証（せんしょう）と言います。西洋医学での、本態性振戦、パーキンソン病、小脳疾患などに当たります。

肝腎不足	肝腎の精血不足で、筋脈が滋養できない
気血両虚	気血不足で、筋脈が滋養できない
痰熱動風	痰熱内蘊、陽盛風動、筋脈は約束を失って痙攣発作が起きる

風陽内動	肢体のふるえ、眩暈、耳鳴、イライラ	天麻釣藤飲　合　鎮肝熄風湯
肝腎不足	頭と手足のふるえ、常に眩暈、耳鳴、不眠多夢、肢体麻木（まぼく）、舌体は痩せ、舌質は暗紅	大補陰丸　合　六味地黄湯加減
	頑固な症状の場合	大定風珠
気血両虚	頭と手足のふるえ、顔色に艶なく、精神倦怠、四肢乏力、頭昏（フワフワ）、舌胖大、舌質は暗淡	八珍湯　合　天麻釣藤飲加減
痰熱動風	頭と手足のふるえ、胸脘痞悶（きょうかんひもん、胸がつかえ悶え苦しむ）、内熱口乾、舌苔黄膩	摧（さい）肝丸、導痰湯加竹瀝　合　天麻釣藤飲加減

天麻釣藤飲：天麻、釣藤鈎（後下）、山梔子、黄芩、牛膝、杜仲、益母草、石決明（先煎）、桑寄生（祛風湿）、夜交藤、朱茯神

鎮肝熄風湯：懐山薬、代赭石（たいしゃせき、平肝熄風）、竜骨、牡蛎、亀板、白芍、玄参、天門冬、川楝子（せんれんし、行気）、茵蔯（いんちん、利水）、麦芽（消導薬）、甘草

大補陰丸合六味地黄湯加減：亀板、生地黄、熟地黄、何首烏、山茱萸、玄参、牡丹皮、知母、黄柏、釣藤鈎、蒺藜子、牡蠣、茯苓、山薬

（大補陰丸：知母、黄柏、熟地黄、亀板）

（六味地黄湯：熟地黄、山茱萸、山薬、沢瀉、牡丹皮、茯苓）

大定風珠：白芍、生地黄、麦門冬、阿膠、亀板、牡蠣、炙甘草、鼈甲、麻子仁、五味子、鶏子黄

八珍湯　合　天麻釣藤飲加減：人参、茯苓、白朮、当帰、白芍、熟地黄、天麻、釣藤鈎、石決明、杜仲、桑寄生（祛風湿、補肝腎）、益母草、牛膝、丹参

（八珍湯：当帰、白芍、川芎、熟地黄、人参、茯苓、甘草、白朮、生姜、大棗）

摧（さい）肝丸：胆南星、釣藤、黄連、滑石、鉄華粉、青黛（せいたい、解毒、涼血）、僵蚕（きょうさん、平肝熄風）、朱紗、天麻、甘草、竹瀝（ちくれき、清火熱痰）、生姜

導痰湯加竹瀝　合　天麻釣藤飲加減：二陳湯（半夏、陳皮、茯苓、炙甘草）、天南星、枳実、山梔子、黄芩、天麻、釣藤鈎、石決明、牛膝

（導痰湯：半夏7、天南星5、枳実5、茯苓7、橘紅5（きっこう、行気、化痰）、甘草3、生姜3）