中医学の基礎、弁証論治と気血津液弁証
東洋医学 | 西洋医学 |
弁証 | 診断 |
論治 | 治療 |
様々な弁証方法を用いて、異なる視点から多角的に病証を分析する。
病証の全体像を把握する弁証の基礎 | 八綱弁証 | |
内傷病に用いる | 気血弁証(気血津液弁証) | |
臓腑弁証 | ||
経絡弁証 | ||
外感病に用いる | 六淫弁証 | |
六経弁証 | 傷寒に用いる | |
衛気営血弁証 | 温病に用いる | |
三焦弁証 | 温病に用いる |
気血弁証(気血津液弁証)
<気の量が不足、虚証> | 気虚 | 生命エネルギーがないけど、うつもない | 倦怠感、めまい、息切れ、食欲不振、下痢 |
気陥 | 気虚+気の上昇<<下降 | 気虚の症状、胃下垂、下痢、気虚発熱 | |
気脱 | 気虚が極限まで悪化 | 意識消失、自汗(津液を固摂出来なくなって外に溢れる) | |
陽虚 | 気虚が発展(気の温煦作用が低下、運化機能(消化吸収輸布)が低下して津液が停滞して湿になる) | 寒証(寒がり)+気虚+湿証、雨で悪化(特に雨の前日) | |
<気の動きの乱れ、実証> | 気滞 | 気の循環障害、①肝気鬱滞、②脾胃気滞、③肺気壅滞 | ①うつ、胸肋脹痛、②納呆、げっぷ・おなら、便秘、腹部の脹痛、③呼吸困難、胸苦しい、咳嗽 |
気逆 | 気の上昇>>下降、①肝気上逆、②肺気上逆、③胃気上逆 | ①易怒、頭痛、②咳嗽・喘息、③げっぷ、嘔吐 | |
<血の不足> | 血虚 | 貧血症状 | めまい、動くと動悸、目のかすみ、顔面蒼白 |
<血の運行障害> | 血瘀 | 血の運行が停滞 | 固定痛・刺痛・夜間痛、口唇指爪顔舌が暗紫色 |
<津液の不足> | 陰虚 | 虚熱として部分的熱症状、熱証+血虚+津液不足 | 口咽が乾く、五心煩熱、盗汗、頬部紅潮、のぼせ、大便燥結、痩身 |
<津液の停滞・過剰> | 湿 | 津液が停滞 | 身体が重だるい、下痢、浮腫、雨で悪化 |
湿熱 | 停滞した津液が熱化 | 暑がり多汗、肥満 | |
寒湿 | 寒によって津液が停滞 | 足腰重感、浮腫 |
舌診 | 脈診 | エキス剤 | 方剤 | |||
気虚 | 舌質淡白、苔薄、剥苔、胖大 | 虚(無力)、細、短 | 四君子湯、参苓白朮散、六君子湯 | 四君子湯、黄耆建中湯、啓脾湯、六君子湯 | ||
気陥 | 舌質淡白 | 弱(浮、細) | 補中益気湯 | 補中益気湯 | ||
気虚発熱 | 補中益気湯去当帰加大棗生姜 | |||||
気脱 | 舌質淡白 | |||||
陽虚 | 舌質淡白、胖大、歯痕 | 遅、虚(無力)、沈、細 | 八味地黄丸、右帰丸 | 八味地黄丸、真武湯 |
気滞 | 舌質淡白 | 実(有力)、短、弦 | 金鈴子散、五磨飲子 | 四逆散、加味逍遙散 | ||
気逆 | ||||||
血虚 | 舌質淡白 | 細、渋 | 四物湯 | 四物湯 | ||
血瘀 | 舌質が暗紫色、瘀点、瘀班、舌下静脈の怒張 | 血液がドロドロ | 細渋、沈弱、結代 | 桃仁承気湯、血府逐瘀湯 | 桃核承気湯、疎経活血湯、桂枝茯苓丸 | |
陰虚 | 舌質紅、少苔または無苔、剥苔、裂紋 | 細、数、虚(無力) | 六味地黄丸、一貫煎 | 滋陰降火湯、六味丸 | ||
湿 | 舌に白い苔、胖大、歯痕舌、腐苔 | 浮、細、虚(無力) | 五苓散、猪苓湯 | 五苓散、猪苓湯 | ||
湿熱 | 黄膩苔 | 三仁湯、連朴飲 | 荊芥連翹湯、茵蔯五苓散、茵蔯蒿湯、竜胆瀉肝湯 | |||
寒湿 | 白膩苔 | 五苓散、当帰芍薬散、呉茱萸湯、真武湯、苓桂朮甘散 | ||||
痰飲、食滞、実熱 | 滑 |
四君子湯:人参、甘草、白朮、茯苓
補中益気湯:人参、炙甘草、白朮、黄耆、升麻、柴胡、陳皮、当帰
八味地黄丸:桂枝、附子、熟地黄、山薬、山茱萸、沢瀉、茯苓、牡丹皮
右帰丸:肉桂、附子、熟地黄、山薬、枸杞子、山茱萸、杜仲、当帰、菟絲子、鹿角膠
金鈴子(きんれいし)散:金鈴子(川楝子)、玄胡索(延胡索)
五磨飲子:木香、檳榔子、枳実、烏薬(行気)、沈香(行気)
四物湯:当帰、川芎、白芍、熟地黄
桃仁承気湯:桃仁、当帰、芍薬、牡丹皮、大黄、芒硝
血府逐瘀湯:当帰、牛膝、紅花、生地黄、桃仁、枳穀(きこく、化痰・行気)、赤芍(せきしゃく)、柴胡、甘草、桔梗、川芎、生甘草
六味地黄丸:熟地黄、山薬、山茱萸、沢瀉、茯苓、牡丹皮
一貫煎:沙参(滋陰)、麦門冬、生地黄、枸杞子、当帰、川楝子(行気)
五苓散:猪苓、沢瀉、茯苓、桂枝、白朮
猪苓湯:猪苓、沢瀉、茯苓、滑石、阿膠
三仁湯:杏仁、滑石、通草、白豆蔲、竹葉、厚朴、薏苡仁、半夏
連朴飲:厚朴、黄連、菖蒲、半夏、豆鼓、山梔子、芦根(ろこん)
気虚発熱:気虚下陥では、体内で唯一の陽の性質を持つ気が減ったのに対して、陰火が上昇して熱症状が出ます。
津液(体内の正常な水液)は停滞や熱化により濃密になり、津液→湿→水→飲→痰と呼ばれます。血の中の水分も津液。
陰液(陰の力を発揮する水液)は、血・津液・精のこと。陰の性質を持つ。(陽の性質を唯一持つのが気)
気の分類 | |||
原気(元気) | 先天の気 | 腎の貯蔵された先天の精から化生した気で、生命活動の原動力 | |
宗気 | 後天の気 | 胸中 | 飲食物から得られる水穀の精緻と呼吸により得られる清気が合わさり、化生される気で、心肺の活動を支える |
営気 | 後天の気 | 脈内(血管内) | 栄養分を持ち、栄養を供給 |
衛気 | 後天の気 | 脈外(血管外) | 汗腺の開閉を行い、外邪の侵入を防ぎ、体温を調整、発汗を調整 |
正気(真気ともいう) | 人体の生命活動の動力 先天の気と後天の気が結合したもの 人体の機能活動と抗病能力 |