リウマチの中医治療
木田正博先生の関節リウマチの治療(1)〜(3)をまとめました。(2005, 木田)
大前提として、虚実の内容と寒熱を見分ける弁証と、適切な養生指導が必要です。
一般的にRAは、素体に気血不足、肝腎不足があり、患部では痛み、熱、腫脹があるので、「標:湿熱痺」、「本:気血精不足や肝腎不足」として対応することが多い。痛みが強いときは、通絡を主とする。通絡によって阻滞された衛気によって生じた熱と湿がとれて痛みがとれる。強力な清熱薬は不要です。
(衛気:陽気の一種で、体表を保護して外邪の侵入を防御する作用、身体を温める温煦作用があります)
痛みが生じる二大原則は、「不通則痛(実痺、標治)」、「不栄則痛(虚痺、本治)」だが、標治の段階では、通絡によって気血津液を通して痛みを取る治療が中心となります。「不栄則痛(虚痺、本治)」でも、通絡を併用することがほとんどです。
I方:実痺基本方 | 通絡・祛風湿 | 桑枝10、粉防已5~7、烏梢蛇末2沖服(ちゅうふく)、五霊脂5 > 地竜5、独活5~7、忍冬藤10 |
清熱 | 忍冬藤10、牡丹皮5、地竜5 | |
瘀血 | 五霊脂5>牡丹皮5、川芎5 | |
養血活血 | 白芍5、川芎5、当帰5 | |
補気 | 黄耆10~15 | |
利水消腫 | 粉防已5~7 | |
補益脾胃、諸薬の調和 | 炙甘草3 | |
熱が強い | 去 独活、川芎、当帰 | 加 黄柏5、秦艽7、虎杖7 |
関節腫脹(湿痺) | 去 独活、五霊脂 | 加 粉防已↑10、薏苡仁15、蒼朮7、蚕砂5、萆薢10、白僵蚕5 |
瘀血 | 去 川芎 | 加 五霊脂↑7>延胡索5~7、莪朮5、三稜5 |
風痺 | 去 五霊脂 | 加 白僵蚕5、防風5 |
瘀・熱・腫ともにある | 加 虎杖7~10 | |
寒痺 | 去 忍冬藤、牡丹皮 | 加 桂枝5~7、細辛3、炮附子2~4、修治附子1~3 |
寒熱混在 | 去 牡丹皮 | 加 桂枝5など |
通絡作用が不足 | 加 烏梢蛇末2沖服(ちゅうふく) | |
頑痺 | 実痺基本方より弁証で2~4味去 | 加 五霊脂5~7、地竜5~7、烏梢蛇末2~3、白僵蚕5~7 |
瘀血が強い | 加 水蛭2~3 > 莪朮5、三稜5 |
実痺の治療で、日常生活におけるリウマチの痛みがほとんど消えた場合に、本治(不栄則痛、虚痺)に移行する。
通絡などの標治は必ず残して、標治と本治を同程度にする。
虚証が目立たなくなるまで、養生と補法を継続する必要あります。
II方:虚痺基本方 | 通絡・祛風湿 | 桑枝10、粉防已5~7 |
養血活血 | 白芍5、川芎5、当帰5 | |
補気 | 黄耆10 | |
温経通絡、温通血脈 | 桂枝5 | |
行血補血、舒筋(じょきん、ゆるめること)活絡 | 鶏血藤10 | |
補肝腎、強筋骨、祛風湿 | 桑寄生10 | |
補養精血 | 熟地黄3 | |
気虚 | 去 唐独活、防已 | 人参5、黄耆↑15、白朮5~7 |
血虚 | 去 唐独活 | 枸杞子7、芍薬↑、当帰↑、何首烏7 |
陰虚 | 去 唐独活、熟地黄、桂枝 | 乾地黄5、玄参5~7、女貞子7、土別甲15 |
陽虚 | 去 唐独活、鶏血藤 | 淫羊藿7、鹿角膠2、細辛3、炮附子2、五加皮5 |
精虚 | 去 唐独活、防已 | 鹿角膠2、亀板10~15、山東阿膠2 |