肺脹(肺気腫)の中医治療
肺脹とは、西洋医学での肺気腫のことです。
肺気腫とは、たばこの煙などが原因となって肺胞(呼吸の際に酸素と二酸化炭素の交換が行われる部位)に慢性的な炎症が生じ、構造が破壊されて肺の機能が低下する病気です。この肺の構造破壊は胸部CTにより診断することが可能です。肺気腫は、現在は慢性閉塞性肺疾患(COPD)と呼ばれます。喫煙者の15~20%がCOPDになります。5年生存率は70%です。
実証 | ||
寒飲射肺 | 風寒の外邪による悪寒発熱、痰は希薄で量が多い、口渇、飲みたがらず | 小青竜湯加減 |
痰熱壅肺 | 風寒または風熱の外感が熱化、発熱するが悪寒なし、痰黄粘調 | 清気化痰丸加減 |
虚証 | ||
肺腎両虚:肺腎気虚 | 久咳が止まらない、動けば気喘(痰が喀出しない喘息) | 人参蛤蚧(ごうかい)散加減 |
肺腎陰虚 | 久咳が止まらない、動けば気促(呼吸数の多い呼吸困難)、手足心熱 | |
脾腎陽虚 | 冷や汗、冷え症 | 金匱(きんき)腎気丸加減 |
閉証(症状が重篤化) | ||
寒痰内閉 | 四肢は冷涼、精神恍惚 | 三生飲加減 |
熱痰内閉 | 顔面紅潮、うわごと、胸中悶脹、精神もうろう | |
脱証(症状が重篤化) | 息切れ、激しい自汗、精神もうろう | 四逆湯加減 |
小青竜湯加減:麻黄、細辛、半夏、五味子、生姜、桂枝、芍薬
清気化痰丸加減:半夏、橘紅(きっこう、陳皮)、茯苓、黄芩、枳実、杏仁、胆南星、栝楼仁
人参蛤蚧散加減:蛤蚧(助陽、止咳)、人参、茯苓、甘草、杏仁、貝母、知母、桑白皮
金匱(きんき)腎気丸加減:附子、山茱萸、熟地黄、茯苓、山薬、沢瀉、茯苓、牡丹皮、桂枝
三生飲加減:天南星、木香、附子、川鳥頭、胆南星、生姜
四逆湯加減:附子、乾姜、甘草