手足のほてりの中医治療
手足のほてりとソワソワして落ち着かない症状は、中医学では五心煩熱と呼びます。
手のひら・足のうら・心胸の「五心」は、人体では裏・陰に属し、陰虚で内熱が生じると五心にも熱が現れます。
陰虚 | 五臓の陰虚ではすべて五心煩熱が生じるが、特に肺、肝、腎が多い |
肺陰虚は、肺癆(肺結核)が経過して肺陰が消耗して発症する | |
肝陰虚は、疲労の蓄積や肝病で陰血が不足して、肝胆火旺となる | |
腎陰虚は、他臓の陰虚が波及して、腎陰を消耗して発症する | |
血虚 | 肝脾両虚によって発生する。脾は後天の本で、五穀の精気を散布して気血を生化し、肝は蔵血の臓である |
邪伏陰分 | 外感病に対する治療が不適当であり、余邪が営陰に留伏して発生する |
火鬱 | 肝気鬱結により陽気が条達出来ない |
陰虚 | 午後に強い、冷水を欲する、布団から手足を出す、盗汗、頬部紅潮、腰膝酸軟、口咽乾燥、舌質深紅、舌苔少または剥苔、脈沈細数 | |
肺陰虚(骨蒸(こつじょう)潮熱、盗汗、咳嗽、息切れ、喀血) | 秦艽鼈甲散 | |
肝陰虚(胸内の熱感、口渇するが水を欲しない、浅眠、疲労感) | 清骨散加味 | |
腎陰虚(耳鳴り、遺精、盗汗、腰膝酸軟) | 左帰丸加地骨皮・白薇 | |
血虚 | 午後に強い、疲労感、納少、おっくう、動悸、眩暈 | 補肝湯加地骨皮 |
邪伏陰分 | 夜間発熱するが朝は解熱、解熱しても汗をかかない、食べられるが痩せる | 青蒿鼈甲湯 |
火鬱 | 手足以外にも四肢に熱感、尿が濃い、イライラ、易怒性、口苦 | 昇陽散火湯 |
秦艽鼈甲散:柴胡、鼈甲、地骨皮、秦艽、当帰、知母、青蒿、烏梅(うばい、収渋)
清骨散:柴胡、黄連、秦艽、鼈甲、地骨皮、青蒿、知母、甘草
左帰丸:熟地黄、山薬、枸杞子、山茱萸、牛膝、菟絲子、亀板、鹿角膠
補肝湯:当帰、白芍、川芎、熟地黄、酸棗仁、木瓜、麦門冬、甘草
青蒿鼈甲湯:青蒿、鼈甲、生地黄、知母、牡丹皮
昇陽散火湯:升麻、葛根、羌活、独活、白芍、人参、柴胡、甘草、防風