こむら返りの中医治療
こむら返りは、中医学では四肢拘急(こうきゅう)と呼びます。
外感 | 風寒 | 風寒の邪が経脈に侵入し、経脈が寒性によって収引(気血の循環が悪くなり)されて起こる | 無汗なら葛根湯 |
自汗なら栝楼桂枝湯 | |||
寒湿 | 寒湿の邪が筋膜を障害して起こる | 胃苓湯加減 | |
湿熱 | 湿熱の邪が筋膜に停滞して起こる | 二妙散加減 | |
内傷 | 熱盛傷陰 | 温熱病、過労による陽亢・火旺で、陰液が消耗して起こる | 清宮湯 合 羚羊(れいよう)釣藤湯 |
亡陽脱液 | 嘔吐・下痢・発汗などで陽気・陰液が不足して、筋脈が温煦・滋養されずに起こる | 四逆湯 加 人参 | |
肝血虚 | 出血や脾虚があり、血虚のために筋脈が滋養されずに起こる | 四物湯加味 |
葛根湯:葛根、麻黄、桂枝、生姜、大棗、甘草、白芍
栝楼桂枝湯:栝楼仁(熱痰)、桂枝、白芍、甘草、生姜、大棗
胃苓湯:蒼朮(祛風湿)、厚朴、陳皮、炙甘草、白朮、桂枝、猪苓、沢瀉、生姜、大棗
二妙散:黄柏、蒼朮
清宮(せいえい)湯:犀角(清熱涼血)、生地黄、玄参、竹葉、金銀花、連翹、黄芩、丹参、麦門冬
羚羊(れいよう)釣藤湯:羚羊角(平肝熄風)、釣藤鈎、桑葉(辛涼解表)、貝母、生地黄、菊花(辛涼解表)、茯神、白芍、甘草、竹筎(熱痰)
四逆湯:附子、乾姜、甘草
四物湯:当帰、熟地黄、白芍、川芎
こむら返りに対して、エキス剤では芍薬甘草湯を使います。芍薬甘草湯の芍薬に含まれる「ペオニフロリン」という成分は、筋肉が収縮するために必要なカルシウムの細胞内流入を減らし、結果として筋肉の収縮を押さえると考えられています。また、抗炎症作用あるいは血小板凝集を抑制することにより血流促進作用を持つと考えられています。 また甘草に含まれる「グリチルリチン」は、カリウムイオンの週出を増やすことで、最終的に神経筋シナプスのアセチルコリン受容体に作用し、筋弛緩の働きをもつとされています。
また甘草に含まれるグリチルリチンは、アルドステロン様の作用を持ちます。アルドステロンは腎臓でのナトリウムと水分の再吸収を促す作用から、陰虚を改善する効果があります。