ワクチン・コロナ後遺症と脂肪細胞活性化症候群(MCAS)

肥満細胞(マスト細胞)は、化学療法の父である Ehrlich によって、塩基性色素により特異的に検出され、 組織に散在する細胞として初めて報告されました。その後の研究によって、肥満細胞は、花粉症や食物アレルギーを引き起こす免疫反応の「悪玉」として働く一方で、感染症から生体を守る「善玉」として働くなど多様な役割を担うことが知られています。

肥満細胞は、病原体成分やIgE抗体に反応して活性化して、多種多様な炎症性物質を放出して、生体防御に関与するだけでなく、アレルギー反応のような非特異的な炎症反応を修飾して、様々な慢性炎症性疾患に関与しています。

肥満細胞活性化症候群(Mast cell activation syndrome、MCAS)の重度の反応では、血清トリプターゼ値(ヒト肥満細胞中に顆粒として存在するトリプシン様プロテアーゼの一種)がベースラインより大幅に上昇することが知られています。(2013, Valent)

新型コロナ後遺症および新型コロナワクチン後遺症の患者において、、肥満細胞活性化症候群(Mast cell activation syndrome、MCAS)患者と同じ臨床症候群を示すことが知られています。(2023, Sumantri)(2021, Weinstock)

いくつかの小規模試験では、急性新型コロナ感染症および新型コロナ後遺症に対する肥満細胞安定化薬の有益性が明らかにされています。(2020, Kazama)。具体的には、抗ヒスタミン薬、クロモリン(肥満細胞安定化薬)、フラボノイド(ケルセチンとルテイン)、低用量ナルトレキソン、モンテルカスト(ロイコトルエン阻害薬)、ビタミンCとDなどのMC指向療法のさまざまな組み合わせを使用することで改善が報告されています。(2021, Weinstock)