胃部不快感(反胃)の中医治療
胃部不快感は、中医学では「反胃」と呼ばれます。
脘腹の痞脹、朝食暮吐(ぼと)と暮食朝吐が主症状です。西洋医学では、胃がん、機能性ディスペプシア、胃炎などのことです。
■鑑別診断
嘔吐では、飲食後すぐ吐く、食べないでも吐く、量は多くない。
反胃では、時間差があって吐き、量が多い。
噎膈(いっかく、嚥下困難)では、食べ物が喉につまりますが、反胃では嚥下困難はない。
■要点
反胃では、寒、熱、痰、瘀の4つが主な証型である。
脾胃虚寒 | 便溏、冷え症、精神の疲れ、乏力 | 丁蒄(ちょうく)理中湯 |
胃中積熱 | 便秘、心煩、口渇、顔色紅 | 竹茹湯 |
痰濁阻胃 | 嘔吐時に痰涎多い、上腹に積塊 | 導痰湯 |
頑痰で体がなお壮健 | 礞石滾痰(こたん)丸 | |
+寒 | 乾姜、細辛 | |
+寒が甚だしい、白沫を吐く | 呉茱萸湯 | |
+卵の白身のような痰涎 | 人参、白朮、益智仁(やくちにん、助陽) | |
血瘀積結 | 脘腹脹満、拒按、上腹に積塊、吐血、便血 | 膈下逐瘀湯 |
+黄沫を吐く、吐血、血便 | 降香(こうこう、活血化瘀、止血)、田七 | |
+上腹部激痛 | 乳香、没薬 | |
+上腹部に結塊、堅硬 | 鼈甲、牡蠣、三稜、莪朮 |
丁蒄(ちょうく)理中湯:人参、白朮、乾姜、丁香、白豆蒄(びゃくずく、行気)、甘草
竹茹湯:葛根、炙甘草、半夏、竹茹、大棗
導痰湯:半夏7、天南星5、枳実5、茯苓7、橘紅5(きっこう、行気、化痰)、甘草3、生姜3
礞石滾痰丸:礞石(もうせき、清化熱痰)、大黄、黄芩、沈香(じんこう、行気)、朴硝(ぼくしょう、芒硝、瀉下薬)
膈下逐瘀湯:香附子、烏薬、枳殼、当帰、川芎、芍薬、桃仁、紅花、牡丹皮、五霊脂、延胡索