湿疹に使うエキス剤
葛根湯と越婢加朮湯は、麻黄・桂枝・防風の透疹作用によって湿疹を治癒に導きます。透疹作用は葛根湯の方が強いです。
越婢加朮湯は、石膏が含まれており湿疹に伴う熱証が強い時に使います。
透疹とは、麻疹や蕁麻疹などの初期には、発汗作用とともに発疹を促し、それにより毒素を体外に排出させることです。この「発疹を促す」作用が透疹作用です。コリン性蕁麻疹も、この透疹が関係すると考えています。
白虎加人参湯と消風散は、湿疹に加えて乾燥した湿疹で発熱症状が強い際に使います。強い発熱症状がある時に、白虎加人参湯を使います。
十味敗毒湯は、解表の荊芥・防風によって、風邪が肌絡に侵入した際の皮膚掻痒に使います。祛風の独活、排膿の桔梗もあり、皮膚化膿症に使います。
当帰飲子は、血虚の四物湯と解表の荊芥・防風から構成されており、一般的には老人の皮膚そう痒症に使われます。
黄連解毒湯、清上防風湯、温清飲、荊芥連翹湯は、清熱燥湿の生薬で構成されており湿証の強い湿疹(浸出液などありジュクジュクした湿疹)に使います。
黄連解毒湯と清上防風湯は実証に、温清飲と荊芥連翹湯は虚証に使います。
黄連解毒湯は、三焦熱毒(三焦に熱毒が充満)に使います。
清上防風湯は、上焦風熱を除き解毒排膿する場合に使うので、上焦の膿疹に使います。
温清飲は、黄連解毒湯と四物湯の合方であり、三焦熱毒が血虚を伴う場合に使います。
荊芥連翹湯は、温清飲の内容にさらに、解表の荊芥・防風によって、風邪が肌絡に侵入した際の皮膚掻痒に使います。
■エキス剤の使い分け
透疹作用を使って治療するのが葛根湯、透疹+解熱が越婢加朮湯。
熱証が目立つ場合、白虎加人参湯>消風散。
湿証の目立つ湿疹で、黄連解毒湯と清上防風湯は実証に、温清飲と荊芥連翹湯は虚証(血虚)に使います。
解表作用を使って治療する(内傷による湿疹ではない)のが、十味敗毒湯、当帰飲子、清上防風湯、荊芥連翹湯。