食事・睡眠・体温と免疫

まとめ:低下した免疫を改善させるには、食事・睡眠を改善すること、体温を上げることが重要です。

食事が腸内細菌叢の構成の変化であるディスバイオシスを引き起こし、異常な免疫反応につながり、不適切な炎症プロセスが発生し、宿主細胞の損傷や自己免疫疾患を発症させます。プレ・プロバイオティクスの摂取、オメガ3脂肪酸の摂取とオメガ6脂肪酸の制限、グルテン、炭水化物、コーヒー、アルコール、香辛料の制限が推奨されます。(2012, Brown)

カロリーの高い西洋食が、免疫細胞を活性化して慢性炎症性疾患につながることが指摘されています。(2019, Christ)

病原体に対する最適な免疫反応をするためには、十分なタンパク質、亜鉛、ビタミンA、C,D、E、カロテノイドやポリフェノールなどの植物化学物質の摂取が重要です。(2020, Iddir)

糖尿病患者では、感染症に罹りやすいことが知られていますが、糖尿病患者では、体液性自然免疫のさまざまな障害(補体因子4の低下、刺激後のサイトカイン応答の低下)が報告されています。細胞性自然免疫に関しては、ほとんどの研究で、対照群の細胞と比較して、糖尿病性多形核細胞および糖尿病性単球/マクロファージの機能(走化性、貪食、殺傷)が低下していることがわかっています。一般に、糖尿病のより良い制御は、これらの細胞機能の改善につながります。(1999, Greelings)

発熱の熱的要素によってもたらされる炎症性刺激が、自然免疫および獲得免疫反応を刺激し免疫系を亢進させます。恒温動物 の発熱は、体温が 1°C 上昇するために代謝率が 10~12.5% 上昇する必要があるほど、高い代謝コストで起こります。しかし、発熱による免疫亢進は、その代謝コストを上回る利益があります。この免疫亢進には、発熱性サイトカインであるインターロイキン6が多彩な役割を演じます。(2015, Evans)

がんに対する温熱療法が推奨されていますが、発熱による免疫刺激ががんの治療に有効であることが報告されています。(2013, Dewhirst)

寒冷環境は、免疫系を低下させることが知られています。(2011. LaVoy)

発熱による体温上昇は、免疫細胞の反応を高めて、宿主を病原体から守る働きをします。(2002, Rosenspire)

睡眠不足は免疫機能を低下させ、感染時には体温を上げるように睡眠が変化します。(2009, Imeri)

睡眠と免疫は双方向に結びついています。長期にわたる睡眠不足(睡眠時間が短い、睡眠障害など)が慢性の全身性低レベルの炎症を引き起こし、糖尿病、動脈硬化、神経変性など炎症性要素を伴うさまざまな疾患と関連しているという研究結果によって裏付けられています。(2019, Basedocsky)