薬対:柴胡と黄芩

柴胡と黄芩は、①往来寒熱、胸脇苦満を主訴とする傷寒少陽病の和解少陽剤の代表的な基本処方、②他に実熱を伴う瘧疾(マラリア)、③肝鬱気滞が火と化して少陽証を示すものに使います。

柴胡辛涼解表苦、微辛、微寒肝、胆、心包、三焦透表泄熱、疏肝解鬱、昇挙陽気昇発の性質を持つので、気逆不降、陰虚火旺、肝陽上亢には使わない
黄芩清熱燥湿苦、寒肺、大腸、小腸、脾、胆清熱燥湿、清熱瀉火、解熱、涼血、清熱安胎苦寒で脾胃を損傷しやすいので実熱にのみ使う。脾胃虚寒には禁忌

和解とは疏泄や調和によって病邪を消邪する治法。少陽とは邪が半表半裏に位置すること。

代表処方は、小柴胡湯(傷寒少陽病)。

胸脇苦満とは、胸脇部が膨満して重苦しくなること。少陽経に邪が集まっていることを示唆します。少陽経は経脈のひとつで、位置は人体の中間で半表半裏にあります。少陽病症と鬱証で現れる症状です。

少陽経に邪があると、肝胆が主る疏泄失調が生じて、気の流通が滞るので、気分が晴れず抑うつ感を自覚します。

肝胆の気の鬱滞は、真っ先に相克の関係にある脾胃の失調を来し、納少となります。

肝胆の気が鬱結すると湿熱を生じ、それが心に上擾すると「心煩」すなわち胸中に煩熱を生じ、この湿熱が胃に波及すると、胃気の正常な下降を妨げて、上逆して嘔吐となります。