耳脹・耳閉の中医治療
耳脹・耳閉とは、内耳に腫れぼったい閉塞感を主症状とする疾患です。
急性および慢性の非化膿性中耳炎に類似しており、また耳鳴・難聴を併発することが多いです。
風邪侵襲、経気痞塞(ひそく) | 肝胆の気滞から熱化して上行、これに風邪が加わり、耳竅が鬱血 | 初期に感冒症状+肝胆の熱症状(口渇、咽乾、舌紅、苔黄、脈弦数) | 銀翹散 |
加 菊花、夏枯草、青蒿(清疏肝胆) | |||
加 石菖蒲(散邪通竅) | |||
竅内に液体の蓄積 | 車前子、沢瀉、桑白皮 | ||
肝胆の湿熱が盛ん | 竜胆瀉肝湯加減 | ||
邪毒滞留、気血瘀阻 | 邪毒が停留して、気血瘀滞となり、脈絡が阻害されて耳竅が閉塞 | 耳脹・・耳閉が慢性化 | 通気散加赤芍、石菖蒲 |
重症の場合以下を加 | |||
芳香で通竅 | 藿香 | ||
行気活血 | 赤芍、川芎、桃仁、紅花、老葱(ろうそう) | ||
営衛調和 | 生姜、大棗 | ||
+脾虚症状 | 補中益気湯合通気散加減 | ||
+肝腎陰虚 | 耳聾左慈丸合通気散加減 | ||
+腎陽虚 | 附桂八味丸合通気散加減 |
銀翹散:金銀花、連翹、桔梗、薄荷(はっか、辛涼解表)、竹葉(清熱瀉火)、荊芥穂(すい)、豆豉、生甘草、牛蒡子
竜胆瀉肝湯:竜胆、沢瀉、木通、車前子、当帰、柴胡、生地黄
通気散(医林改錯):柴胡、香附子、川芎
通気散(医学準縄六要):茴香、木香、人参、延胡索、陳皮、石菖蒲、羌活、白僵蚕、川芎、蝉退、穿山甲、甘草
補中益気湯:黄耆、白朮、炙甘草、人参、升麻、柴胡、陳皮、当帰
耳聾(じろう)左慈丸:熟地黄、山茱萸、山薬、牡丹皮、茯苓、沢瀉、柴胡、磁石(じせき、重鎮安神薬)
(六味地黄丸:熟地黄、山茱萸、山薬、牡丹皮、茯苓、沢瀉)
附桂八味丸:熟地黄、山茱萸、牡丹皮、沢瀉、茯苓、山薬、附子、肉桂心