セレプターゼ

まとめ:後遺症の治療薬として期待されているセレプターゼは、ナットキナーゼと同じ理由でスパイクタンパク質の分解が可能かは疑問が残ります。

セレプターゼ(serraptase)は、ダーゼンとして40年以上医薬品として使われてきましたが、現在は使われていません。

武田薬品は21日、消炎酵素製剤「ダーゼン」(一般名:セラペプターゼ)を市場から自主回収すると発表した。同社が行ったプラセボ対照比較試験で有効性を示せなかったことから、厚生労働省が再試験の検討を指示していたが、最終的に有効性を証明できないと判断し、再試験の実施を断念した。ダーゼンをめぐっては、1995年に行われた再評価で、承認条件として厚生労働省から必要なデータを揃えるよう求められていました。そこで武田薬品は、自主的に慢性気管支炎、足関節捻挫を対象とした3試験を実施しましたが、プラセボに比べて有効性を示すことができませんでした。これを受け、1月19日に開かれた厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品再評価部会は、現在の医療環境でダーゼンの有効性を検証する再試験の実施を指示しました。同社は再試験の実施に向け、試験デザインを見直す方向で検討を進めてきたが、最終的に有効性を証明することが難しいと判断し、市場に出回っているダーゼンを自主回収することを決めました。ダーゼンは、1968年から国内で販売され、長く去痰剤などとして使用されてきた。09年度の売上高は67億円でした。(薬事日報

一方で現在も、サプリとして販売されています。セラチオペプチダーゼはカイコの腸内に存在し、善玉菌セラチアマルセッセンスから分離した酵素で、羽化した蛾が繭を溶かすのを可能にします。研究ではセラペプターゼは原型を保ったまま消化管から吸収され、タンパク質分解酵素としての効果が期待されています。

新型コロナ感染症に対して、セレプターゼは、抗炎症薬、繊維素溶解薬(一度凝固した凝血が溶解する現象で、血液凝固第3相の主役である線維素(フィブリン,Fibrin)あるいは線維素原(フィブリノゲン,Fibrinogen)が,蛋白分解酵素の1種であるプラスミン(Plasmin)によって溶ける現象)、粘液溶解薬としての有用性が報告されています。(Shama, 2021)

セレプターゼは、分子量が 45,000~60,000 で、タンパク質分解活性に重要な亜鉛原子を含むメタロプロテアーゼです。酵素をコードする遺伝子のヌクレオチド配列から推定されるアミノ酸配列から、Serratia プロテアーゼの成熟タンパク質は 470 個のアミノ酸で構成されていることが明らかになっています。(1986, Nakamura)

セレプターゼのこれまで抗炎症、抗浮腫、鎮痛効果の治療成績16件をまとめたレヴューでは、科学的証拠が不十分であると結論されています。(2013, Bhagat)