高血圧の診断基準の大きな問題

1.昨年から高血圧の基準が緩和したという話は誤報です

全国健康保険協会(協会けんぽ)が未治療の高血圧者に対する受診勧奨基準を収縮期血圧160mmHg以上または拡張期血圧100mmHg以上に設定したのは、平成25年度(2013年度)からです。

一部で「2024年4月から高血圧の基準が160/100mmHgに引き上げられた」との情報が広まりましたが、これは誤報です。実際には、協会けんぽの受診勧奨基準は平成25年度から現在に至るまで変更されていません

2.血圧の診断基準は、この数十年でだんだん下げられています。

また、全国健康保険協会(協会けんぽ)は平成25年以前には高血圧の基準を特に示してはいません。

1987年には、旧厚労省が180/100mmHgを高血圧の基準として示しました。

2000年には、日本高血圧学会が140/90mmHgという基準値を示しました。

米国では2017年に、高血圧の基準が、140/90mmHg以上から、130/80mmHg未満に引き下げられました。(米国心臓病学会/協会ガイドラインより)

3.高血圧の基準がゆるくなり、高血圧薬がどんどん使われるトリック

高血圧の基準が、どんどん下げられている理由は、NHKでも取り上げられた下図が原因です。

年齢とともに動脈硬化を少しずつ進行して、血管が固くなります。固くなった血管を使って全身に血を行き渡らせるために、高齢者ほど血圧が高くなります。

あたりまえの話ですが、高齢者ほど脳卒中などで死亡するリスクは高くなります。

つまりNHKの血圧と死亡リスクの図は、年齢補正をしていない、高血圧と死亡リスクの相関を疑わせるトリックです。有名なNHKの図は高血圧と死亡リスクの関係を示しているのではなくて、年齢と死亡リスクの関係を単に示している図です。