肢端紅痛症の西洋医学的治療
肢端紅痛症(EM、erythromelalgia)に対する西洋医学的治療のまとめが報告されています。(2023, Ma)
EM の痛みを和らげるために、患者は赤く熱い四肢を氷や冷水で冷やしたり、四肢の近くで強力な扇風機を継続的に使用したりすることがよくありますが、これらの行為は組織の損傷、潰瘍、および障害のリスクを高める可能性があります。水や氷は、皮膚の腫れや潰瘍を伴う浸水足や塹壕足につながる可能性があり、扇風機は、扇風機を止めると紅潮の増悪を伴う風焼けに相当する問題につながる可能性があります。したがって、患者は安全に症状を緩和するために冷却手段を使用する必要があります。氷または水に浸すことは避けるか制限する必要があり (例、10 分以内、1 日 4 回以内)、患者は四肢を冷却する別の方法を探す必要があります。患者によっては、症状があるときに四肢を挙上すると役立つ場合があります。ランニングなどの運動で EM が悪化する患者には、代わりに水泳を勧めてもよいでしょう。
全身療法としては、step1としてアスピリン325mgを1ヶ月服用します。
step2は、ガバペンチン300mgを就寝前に服用して、最大2400mgまで3回に分けて服用します。または、プレガバリン(リリカ)75-300mgを12時間毎に服用します。または、ベンラファキシン(イフェクサー)を1日75mgまで服用します。
step3は、SSRI(フルオキセチンよりセルトラリン)またはアミトリプチン、ナトリウムチャンネル遮断剤(メキシレチン、カルバマゼピン)を3から4ヶ月服用します。
step4として、ステロイド、抗ヒスタミン剤、ベータ遮断薬、高用量マグネシウム、オピオイドなどがあります。
肢端紅痛症の治療には、数十年にわたり多くの薬剤が使用されてきました。血管拡張薬(アスピリン、プロスタグランジン)、ナトリウムチャネル遮断薬(リドカイン、メキシレチン、カルバマゼピン、オキシカルバゼピン)、抗うつ薬(三環系抗うつ薬、セロトニン再取り込み阻害薬)、抗てんかん薬、抗ヒスタミン薬、局所塗布薬、免疫抑制薬などが試されてきましたが、いずれも完全な有効性を示す薬剤はなく、その結果、大多数の患者が多剤併用療法(ポリファーマシー)に陥っています。(2018, Tham)