加齢黄斑変性症の中医治療
眼の奥には「網膜(もうまく)」という薄い膜があり、ここで視覚の情報を認識しています。網膜の中心部にある「黄斑」は、ものの形や色、大きさなどを見分ける特に重要な部分です。年齢を重ねると、黄斑に老廃物が溜まり、組織や血管がダメージを受けます。黄斑はものを見るときに重要な働きをしているため、視野のゆがみや欠けが生じることがあります。中医学では、老年性黄斑変性と呼ばれます。
喫煙が原因のひとつと考えられています。(2003, Kelly)萎縮型(高齢発症、慢性、全体の80-90%、視野のぼやけ、両側性)と新生血管性/滲出型(急性、片側性、視野のゆがみや波打ち)があります。黄斑変性症で失明に至るのは新生血管性/滲出型です。(1984, Ferris)
肝腎虧虚 | ぼんやり見える、頭暈、耳鳴、腰膝酸軟、不眠、多夢 | 舌紅苔少、脈細 | 四物五子丸加減 (補血滋陰、補肝腎、明目) | 当帰、生地、熟地、白芍、川芎、菟絲子、覆盆子(収渋)、地膚子、車前子、丹参、萊菔子、蒺藜子、紅花 |
+眼底の瘢痕化で慢性化した視野のゆがみ | 加 昆布、海藻 | |||
+陳旧性滲出液、波打って見える、コントラストの低下 | 加 山楂子、鶏内金、夜明砂 | |||
+五心煩熱、口渇、咽頭乾燥 | 加 知母 | |||
脾虚気弱 | 頭昏、乏力、倦怠、眼精疲労、納呆、便溏 | 舌淡苔白、脈弱 | 補中益気湯加減 | 黄耆、当帰、人参、葛根、柴胡、陳皮、丹参、地竜、茯苓、白朮、蒺藜子 |
+浸出液多い | 加 車前子、益母草 | |||
+出血 | 加 三七、茅根、荊芥 | |||
+瘢痕化 | 加 山楂子、昆布、海藻 | |||
+失眠 | 加 夜交藤、酸棗仁、磁石 | |||
陰虚火旺 | 急性発症、五心煩熱、口干咽燥、盗汗、多夢 | 舌紅、少苔、脈細数 | 知柏地黄湯合生蒲湯加減 | 生地、玄参、牡丹皮、旱蓮草、茅根、三七、仙鶴草 |
+出血 | 加 三七、仙鶴草 | |||
+末期になると | 加 桃仁、紅花 | |||
+失眠、多夢 | 加 夜交藤、黄連、酸棗仁 |