<症例>新型コナワクチン接種後に発症した胃腸障害の寛解例

67歳、男性

新型コロナワクチン3回接種後、2ヶ月目に夜間に右下腹部痛を発症。激痛のため救急車を呼び、入院精査するが原因は不明であった。腹痛は数日で治まったが、その後も1〜2ヶ月間隔で同様のエピソードがあり、腹痛が無い時でも全身倦怠感が強くなり、横になっていることが多くなった。(PS5レベル)大学病院などで投薬治療を受けるが警戒しないため、発症から1年後に当院を受診した。

煎じ薬で治療開始する。1)茯苓5g、人参5g、炙甘草3g、山薬5g、大棗6g、生姜3g、黄耆7g、白朮5g、川芎5g、当帰5g分3 食間

2)水蛭五味除去散(半量)

湯液治療で、腹痛は見られなくなり、全身倦怠感も軽快した。(PS1レベル)

現在は湯液治療は、体調を見て頓服的に服薬して様子を見ている。

コメント:新型コロナワクチン接種後に胃腸障害を呈する症例は多いです。

スパイクタンパク質が結合するACE2レセプターの発現は小腸に最も多く、次が大腸、十二指腸という順番です。(2020, Hikmet)

新型コロナ感染症に伴う腹痛は、心窩部から右季肋部に集中することが報告されています。(2022, Balaphas)

つまり、体内のスパイクタンパク質は小腸あたりにプールする傾向があり、異物を排除する身体の反応として、腹痛、嘔気、下痢などが起こると考えています。

一過性で間欠的に腹部症状が出る場合と、人によっては持続性に出る場合があるようです。

一過性の方はこの症例のように寛解されます。持続性の方は、生薬として蒼朮、代赭石、旋覆花などを使いますが難治性です。