<症例>新型コロナワクチン接種後の結節性痒疹の寛解例

48歳、男性

新型コロナワクチン接種1回後に難治性の結節性痒疹を発症した。痒疹は下半身に主に広がり、痒みと熱感が強烈であった。

大学病院などを受診して治療するが、改善しないために当院に初診となった。

イベルメクチン1ヶ月の投薬にて、かなり改善したがその後は徐々に効果が無くなり再燃してきたため、煎じ薬の治療に切り替えた。

舌紅、苔白黄厚、裂紋、舌下静脈の怒張、脈実渋

弁病:結節性痒疹

弁証:湿熱血熱風毒、血瘀痰凝、陰虚火旺

治法:清熱解毒涼血、利水泄熱、祛風止痒、寧心安神

1)牡丹皮5、乾地黄5、地竜5、生甘草6、栝楼根9、紫根9、茅根9、苦参3、白鮮皮5、大青葉5、蒲公英10、地膚子9、沢瀉6、車前子6、茯神7

2)水蛭五味除去散(半量)

約1年間の治療で寛解に至り、現在減量中である。

コメント:この方の結節性痒疹は、臨床症状の痒みと熱感が著しいため、多種類の生薬が必要でした。達原飲三味も一時的に使ったが、温性のためこの方には合わなかった。寒性の止痒薬である白鮮皮、苦参、地竜、地膚子が有効であった。短期使用が原則である大青葉を長期的に使用した。中止すると再燃するため使用せざるを得なかった。泄熱の沢瀉も著効した。最終的に決め手となったのは、清熱涼血薬の茅根、紫根でした。

皮膚病性病実用験方(広東科技出版社)に、涼血熄風止痒湯(白花蛇舌草、茅根、白鮮皮、黄芩、金銀花、紫根、黄連、黄柏、地膚子、防風、連翹、牡丹皮、蒺藜子)が紹介されている。血熱が根本原因であると記載されている。