ワクチン有効率の問題
山中伸弥教授の新型コロナウイルスの情報発信の中に、川村孝教授の考察が書かれています。
ファイザー社製新型コロナワクチンの有効性が95%との速報が出された(11月18日)。それによると、43661人が参加して41135人が2回目の接種を受け、170人が発症し、その内訳は実薬群が8人、対照群が162人と著しい差があり、重大が副作用はないとのことである。
プラセボ群2万人に接種して162人、実薬群2万人に接種して8人が発症したので、発症者は20分の1になる(これが有効率95%の根拠)。
しかし現実的な見方をすると、2万人に接種して162人が感染するところが8名になり、154名の感染が防げることになるので、ワクチンを打って恩恵を受けた人の割合は0.8%となる」。残りの99.2%の接種者は、接種を受けても受けなくても運命は変わらない。
上が現在使われている計算式で、下が川村先生の計算式です。
一見するとどちらが正しいのかよくわかりません。
分子だけ、感染者数のみを取り上げて、母集団の数を無視して計算すると、母集団が少なくても、非常に多くても関係なく、同じ有効率95%になります。
母集団が数百人でも数万人でも数億人でも、この計算法だと有効率は同じ95%です。
この図をよく見ていると何かオカシイことに気が付きます。
1番上の両群の母集団をワクチン非摂種と同じ人数の162人と仮定して見ます。
162人中全員の162人がワクチン非摂種で感染しますが、ワクチン接種すると感染者が8人に減ります。
162/162から8/162を引くと、0.95という数字が出てきます。
現在報告されている有効率95%は、母集団数をワクチン非接種者の感染数、ここでは162人と仮定して出された数字です。
これは新型コロナの感染率が100%という前提での有効率の計算になります。
実際には感染率は、この例では1%弱と低いので、ワクチンを接種して恩恵を受けた有効率は低くなります。
新型コロナのPCR陽性者数で見ると、日本では1年間に100人中約1名が罹患する感染症です。
川村先生は、「ここで、もし重い副作用がワクチン接種者の1%にでも出たら、ワクチン有効性は吹き飛んでしまう。すなわち、罹患率が低い新型コロナに対するワクチンは、ほとんど副作用が生じないことが必要条件になる」と言われています。
新型コロナは年約1%の罹患率なので、年間100人中99人は罹患しません。この99人はワクチンの恩恵がない、ワクチンの有効性がない人たちです。
普通の人はめったに罹らない感染症に、わざわざワクチンを打つ必要はほとんどありません。
免疫学的にハンディを持つ人や、海外のように高い感染率の場合は、ワクチンを打つ有効性が出てきます。
予防接種における有効率の計算式は、公式が決まっており以下になります。
ワクチンの有効率={(非接種者の発症率-接種者の発症率)÷非接種者の発症率}x100
この公式が、母数を打ち消す計算式になっているので、そもそもの感染率を考慮せずに、感染率が100%という前提となった有効率の数字が出てしまいます。
別の言い方をすると、予防医学で定義されているワクチンの有効率は、その疾患に罹った人に対する有効率という意味です。
私が考える本当のワクチン有効率=予防医学での有効率 x 感染率 です。
日本では年1%の感染率の新型コロナワクチンの1年間での有効率は、この感染率の1%を上回ることはありません。
また、日本での重症化は年間約6000人に1名の割合です。この1名に対してワクチンの有効性はあることになりますが、残りの5999人はワクチンを打っても打たなくても同じで、重症化に対してワクチンの有効性がない人になります。
「ワクチンの感染に対する有効率、重症化に対する有効率、死亡に対する有効率」とは、
「日本では年間に100人に1人の割合で感染する1名がワクチンを打っていた場合の有効率、6000人に1人の割合で重症化する1名がワクチンを打っていた場合の有効率、1万人に1人の割合で亡くなる1名がワクチンを打っていた場合の有効率」という意味です。
この1名以外のほとんどの人は、無症状感染または無感染で、重症化することも亡くなることもありませんので、ワクチンの恩恵がない、ワクチンの有効性がない人達です。
無症状感染の人は、天然のワクチン接種を受けたことになるので、医薬品のワクチンは要りません。