新型コロナワクチン接種後の心筋炎・心膜炎

新型コロナワクチン接種後の心筋炎・心膜炎(Myocarditis, Pericarditis)が問題になっています。以下が特徴です。(2021, Bozkurt)(2021, Albert)(2021, Heymans)

特に若年成人および思春期の男性
12 歳から 39 歳の2 回目の mRNA ワクチンの 100 万回投与あたり約 12.6 症例
通常は、2回目のmRNAワクチン投与の2〜3日後に、胸痛で発症
心筋トロポニンレベルが上昇
心電図は、ほとんどの患者で ST 上昇
心臓 MRI 、心臓エコーで心筋炎を示唆する所見

2回目のmRNAワクチン接種で発症することから、分子模倣による自己免疫疾患などがメカニズムとして想定されています。(2022, Pillay)(2021, Bozkurt)(2022, Fatima)

COVID-19ワクチン接種後の7ヶ月で、検査は正常ですが頻脈と胸痛の後遺症が残った症例が報告されています。(2023, Saloni)

日本での新型コロナワクチン接種後の心筋炎・心膜炎の報告は、2021 年 11 月 14 日までに、MAH から 476 件の報告があり (Pfizer-BioNTech から 281 件、Moderna/Takeda から 195 件)、100 万ショットあたり 1.7 および 6.1 ケース の発生率を示唆しています。これらの症例のうち、20 例 (BNT162b2 で 16 例、mRNA-1273 で 4 例) の死亡が報告されています。(2022, Yamaguchi)

■新型コロナ感染後の心筋炎・心膜炎の疫学プロファイルは、ワクチン接種後のプロファイルと全く異なっている

新型コロナ感染後の718, 365人を対象とした研究で、35,820 人 (5.0%) が新たに心筋炎を発症し、10,706 人 (1.5%) が新たに発症した心膜炎を発症しました。心筋炎は女性の方がやや多く、年齢は45歳未満が多かったが、心膜炎は男女差はなく、45歳から70歳が最も多かった。心筋炎・心膜炎を呈した患者の6ヶ月後の死亡率は、15.5%で対照群に対して有意に高く、心血管系の後遺症が出ている可能性が高いと報告されています。(2021, Buckley)