中医学から見た後遺症の養生
「湿毒疫とみなして重症化を予防する」(中医臨床 2020、木田)から、新型コロナ後遺症、ワクチン後遺症の養生についてまとめてみます。
武漢の高湿度、舌診において歯痕舌、胖大(はんだい)、腐苔から湿毒疫と考えられています。(2022, Dayuan)
中国医学では、生きている人間には気・血・津液という3種類のものが流れていると考えます。
気とは生命エネルギーのようなもの、津液とは生理的な体液のこと、血とは血液という意味と「血液が身体を養う働き」という2つの意味があります。
この気・血・津液は不足しても停滞してもいけません。
湿は津液の流れの停滞のことです。湿が粘くなり固着したような状態が痰です。
湿には湿気の多い環境や感染症などの体外からが原因で生じた外湿と、水分の取りすぎなどで起こった内湿があります。
新型コロナ後遺症やワクチン後遺症では、スパイクタンパク質などの残存が問題ですが、これは中医学では外湿と考えます。
後遺症が問題になる場合は、この外湿の影響を強く受ける原因となる内湿が存在していると考えられます。
この内生の湿痰の原因となる生活習慣が以下です。
①運動不足
運動不足によって、気血津液の停滞が生じることが多い。出来れば1日30分以上の散歩が必要で、出来れば1時間ぐらいの歩行や運動が望ましいです。
②冷飲、多飲
冷たいジュースや酒を多飲することが内湿の原因となります。砂糖と酒は取りすぎると湿熱を生じます。乳製品や小麦製品は湿を生じさせる傾向が強いです。
③肥甘厚味の多食
甘いものを多食する習慣のある人は、肌肉がしまりのないブヨブヨしたものとなり、身体が重いと感じ、さらに動くことが面倒になります。
精製糖質の多食は、湿熱を生じますが、熱はすぐに冷めて湿が残ります。湿から痰も生じて湿痰体質になります。この状態はさらに化膿しやすくなります。
皮膚の化膿疹、鼻では副鼻腔炎(鼻淵)、口内では歯周病、肺では肺癰(細菌性肺炎など)、胃では胃湿熱で胃痛や胃もたれや口臭を生じ、大腸では大腸湿熱で便が臭くて粘い・下痢・残便感・裏急後重(りきゅうこうじゅう、便意があり頻便だが残便感ある状態)となります。
④食事の過多
空腹でなくても間食などを食べる習慣やジューズなどを飲む習慣が、食滞や痰湿の原因となります。
⑤喫煙
肺に痰熱毒や瘀熱を生じて、これが全身に広がります。
これは粘い痰を生じて肺の感染症の原因となります。痰と血瘀が結合して動脈硬化を進めます。