六神丸

まとめ:六神丸は、ワクチン後遺症のブレインフォグ・健忘に効果が期待できます。

六神丸のルーツは、中国。清朝の初期(17世紀半ば)とされています。六神丸の名前の由来は、中国で古くから信じられてきた四方の守護神、青龍(東)、白虎(西)、朱雀(南)、玄武(北)の四神に上下の勾陳、騰蛇を加えて六神と呼んだことから、この神々の名を取り六神丸と称したといわれています。一方で、五臓六腑から来ているという説もあります。

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漢方では、五臓(肝臓、心臓、脾臓、肺臓、腎臓)に心包(絡)を合わせて六臓と呼びます。六臓すべてにその機能を司る“神”というものがあり、その六臓の“神”に効果があるという考え方から六神丸という名前が生まれたともいわれています。かつては、万能薬と言われていました。

現在の「六神丸」の効能は、“万病効果”は認められず、「めまい、息切れ、気つけ、腹痛、胃腸カタル、食あたり」と限定されています。

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この頃の処方は記録がなく明らかではありませんが、戦前の処方は、麝香25%、牛黄13%、熊胆17%、蟾酥(せんそ)5%、辰砂12%、竜脳3%、真珠17%、結合剤8%でした。昭和48年(1973)、辰砂は水銀製剤ということで使用禁止となり、辰砂のかわりに人参を加えた現在の成分になりました。数種類の六神丸が現在発売されており、メーカーによって内容成分が一部異なっています。現在の成分は、麝香をはじめ、牛黄、熊胆、蟾酥と高価な動物性の生薬が主体です。

主な成分主な作用・特長
センソ(蟾酥)シナヒキガエルの耳腺の分泌物を乾固したもので、心筋に働いて拍動を強くします。
ジャコウ(麝香)雄のジャコウジカの腹部にある香嚢(ジャコウ腺)から得られる分泌物を乾燥した香料です。
ゴオウ(牛黄)牛の胆のう中にごくまれに発見される褐色の小球塊で、心臓の拍動を強めます。
ユウタン(熊胆)熊の胆汁を乾燥させたもので、清熱明目、解毒作用があります。
真珠アコヤガイ等からとれた真珠を粉末にしたもので、鎮静作用により神経の緊張を和らげます。
ロクジョウ(鹿茸)末雄鹿の角化していない幼角で、強壮作用により気力を高めます。
ジンコウ(沈香)東南アジアで産出される香木で、気滞に使われます。
ニンジン(人参)末薬用人参の根を乾燥したもので、強壮作用により気力を高めます。
リュウノウ(龍脳)龍脳樹の樹幹の空隙にできた結晶で、気力や意識の減退を回復させます。

主要原料の一つ、麝香(じゃこう)は、主に中央アジアや中国に生息する麝香鹿から採取します。日本の鹿とは異なり、小型で夜行性の習性を持ち、黒褐色の体毛で被われ、牡・牝ともに角はありません。麝香は牡の腹部の陰嚢に近い部分に袋があり、その中の包皮腺から分泌されています。強い香気は牡が牝を誘う“フェロモン”で、初冬の発情期に最も分泌量も増え、匂いもピークに達します。化学分析によると麝香の成分は、ナトリウム・鉄などのミネラルをはじめ、アンモニア化合物、アミノ酸、香気成分ムスコン、アンドロスタン誘導体、男性ホルモンなどです。
薬理作用は、中枢神経興奮作用、呼吸器系や、循環系神経の興奮作用、血圧降下作用、男性ホルモン様作用、抗炎症作用などが明らかにされています。

蟾酥(せんそ)は、アジアヒキガエルやヘリグロヒキガエルの耳腺分泌物、皮膚腺分泌物を集め、乾燥させたもので、いわゆる「ガマの油」です。主な成分は、強心性ホルモンです。

牛黄(ごおう)は『日本薬局方』にも収載されているとおり、牛の胆のう中に生じた結石、要するに胆石です。牛の胆石が人の病を治す物質として用いられ始めたのは、牛の家蓄化とならんで紀元前、数千年前に遡るのか、それとももう少し新しいものなのかは、牛黄が記録に登場するのが、紀元前の秦(しん)の時代から2世紀の漢の時代にかけて成立したといわれている中国最古の薬物書である『神農本草経(しんのうほんぞうきょう)』であるため、ヒトがウシを飼いはじめてから数千年の歴史の中の一体どこなのかは、初めて牛を家畜化したといわれるメソポタミアなのか、その後のエジプトなのか、さらには牛を現在でも神聖動物と考えるインドなのか、ほとんど見当がつきませんが、ともあれ、とてつもなく長い歴史を秘めた薬であることは間違いありません。

熊胆(ゆうたん)は、は熊の胆汁(胆嚢)を乾燥した物です。獣胆を古代より使用することは西域(ギリシア、インド、サラセン)に見られ、唐代に西域の医薬品の使用が伝来したことを想定することができます。熊胆の漢薬製剤中の使用も民間療法的なものが多く、唐・宋代を経て漸次丸薬などの製剤に配合されるようになりました。日本では飛鳥時代から利用されるようになり、江戸時代初期に「クマノイ」として頻繁に使用され、特に配置薬製剤には欠くことのできないものとなりました。主成分は、胆石の治療に有効なウルソデオキシコール酸です。

鹿茸(ろくじょう)は、雄のシカには角があります。秋になると子孫を残すため雌を巡って角突き合わせるための角です。トナカイは雌にも角があるそうですが、一般的に角を持つのは雄ジカだけです。このシカの角というのはウシやヒツジやカモシカの角と違い毎年生え替わるというのが特徴です。春、雄ジカの角はその根元というか付け根からポロッと落ちます。二、三日すると角の落ちたところから小さなコブのようなものが生えてきます。そのコブ様のものの形と伸びるスピードがあたかもキノコのようだということからシカ(鹿)から生えるキノコ(茸)、鹿茸と呼ばれるようになったと考えられています。この新しく生えてきたキノコのようなものを袋角といいます。袋角の成長速度は極めて早く、ニホンジカの成獣では生え始めから2〜3ヵ月で70センチメートル位になるといわれています。この袋角の状態で切り落としてしまうのが鹿茸です。袋角としての成長が終わると、柔らかかった袋角は角化が始まり、だんだん堅くなり、鹿角と呼ばれます。

鹿茸は、生薬としては助陽薬に分類されており、陽虚の症状である「冷え症、腰や膝がだるい、インポテンツ、不妊」などに用いられます。主成分として抽出されたパントクリンは、①弱った心臓血管並びに心筋に特異的に作用して、その機能を回復させる。②消化器官に対してはその機能を促進させる。③腎臓機能を促進する。④筋肉の疲労を回復させる。⑤精神神経緊張症、神経衰弱および感受性の強い人に対し、鎮静作用と強壮作用を示す。⑥精力減退、無気力症に対して性機能の回復を促進する。⑦腫れものや傷の肉芽形成に伴う治癒を促進するといった効果があることが報告されています。

龍脳は、龍脳樹という木からしみ出した樹脂が結晶化したものです。龍脳樹はボルネオ島、スマトラ島、マレー半島などに分布するフタバガキ科の常緑大高木で、成熟したものであれば高さ50~60m、直径1~2m にもなり、幹の割れた中に龍脳が自然と結晶化していることもあります。龍脳樹の木部を細かく刻み、水蒸気蒸留して昇華させ、冷却することにより龍脳を得ることもできます。主成分のボルネオールは、古くから香料として知られています。現在は、化学合成によって作られています。

龍脳は、生薬としては開竅薬に分類されており、脳血管障害や高熱による意識障害に適応があります。

沈香(じんこう)は、熱帯アジア原産ジンチョウゲ科ジンコウ属の常緑高木で、代表的な香木の一つです。風雨や病気・害虫などによって自分の木部を侵されたとき、その防御策としてダメージ部の内部に樹脂を分泌、蓄積したものを乾燥させ、木部を削り取ったものである。原木は、比重が0.4と非常に軽いが、樹脂が沈着することで比重が増し、水に沈むようになる。これが「沈香」の由来となっています。現在は主に人工栽培されています。

沈香は、生薬としては行気薬に分類されており、気滞による胸脇の疼痛、下腹部痛に用いられます。

犀角(サイカク)【犀角(サイカク)】

小児六神丸の成分のひとつの「犀角(サイカク)」、今ではワシントン条約(希少動物の国際間取引を規制する条約)で一切日本に入ってこないものです。主成分は、ケラチンです。

犀角は、生薬としては清熱涼血薬に分類されており、高熱に伴う意識障害に用いられます。