リウマチの歴史と治療

1800年以降の食事革命の後で、ほとんどの自己免疫疾患が初めて出現したことが知られています。(当HPごあいさつ)

この中で唯一の例外がリウマチで、西洋では紀元前の壁面、日本でも万葉集などに記録され、大昔から関節の変形や痛み、腫脹などに悩まされている記録が残っています。

中国医学では、現代病の花粉症やアトピーなどの記載がありませんが、リウマチは痺証として記載され、紀元前200年頃(前漢)から220年(後漢)の頃にかけて編幕されたと推定される黄帝内経にその記載があります。

■西洋医学でのリウマチの治療

リウマチの治療は、リウマチ関連の炎症細胞の激しい増殖を抑えるメトトレキサートや免疫抑制剤のステロイドなどで治療を行います。

メトトレキサートは、主に葉酸活性化酵素阻害剤として作用します。(2022, Zhao)

DNAの合成過程に必須の葉酸の活性化を阻害することによって体内のDNA合成を抑制します。

体内のほとんどの細胞でDNAは毎日合成されていますが、代謝回転の早い細胞である炎症細胞や癌細胞などが最も影響を受けるので、メトトレキサートは、リウマチや癌の治療に使われています。

副作用としては、DNA合成を阻害するため、増殖が早い血液系の細胞や粘膜細胞へのダメージが大きいと考えられます。そのため、骨髄抑制や口内炎、消化器症状が生じると考えられます。また、肝臓は葉酸を貯蔵する働きと、薬物を代謝する働きがあり、メトトレキサートが集まりやすくダメージが大きくなり肝障害を起こすこともあります。

副作用が出た際は、活性型葉酸になるロイコポリンの投与をすることで、メトトレキサートの薬理作用をスキップして、DNA合成を可能にします。

■中国医学でのリウマチの治療

リウマチの発生は、内生病理(感冒のように身体の外から侵入してくるものではなく、身体の中から発生する)が原因とされています。内生五邪と呼ばれるものに、風・寒・暑・湿・燥・火がありますが、リウマチに関連するものは熱と湿です。

リウマチの発病機序としては、「内生の熱邪や湿邪が、正気(人体の生命活動の動力)の不足をきっかけに生じて、肢体経絡の筋膜・骨を侵犯して、広がること」です。

中医学での治療は、肢体経絡の阻滞(つまること)した湿・熱を取り除き、経絡の阻滞を改善(これを通絡といいます)します。

西洋医学的な治療よりも、根治的な治療と言えます。

■リウマチの種類は200種類以上と言われています。

■リウマチの診断基準、米国・欧州リウマチ学会合同 関節リウマチ新分類基準(2010年)、少なくとも1つ以上の明らかな腫脹関節(滑膜炎)があり、他の疾患では説明できない患者がこの分類基準の使用対象となる。明らかな関節リウマチと診断するためには下表の合計点で6点以上が必要。