中医学と西洋医学の止血薬併用の問題

抗凝固薬 / 抗血小板薬と中薬を併用すると、出血リスクを高める可能性があると報告されています。(Li, 2019)

抗血小板薬であるアスピリンと活血化瘀薬の相互作用が評価されています。特に、丹参、紅花、川芎、当帰がアスピリンと併用された場合、抗血小板作用が相乗的に増強され、出血リスクが高まることが指摘されています。(2013, Tsai)

台湾の国民健康保険データベースを用いたこの研究で、人参や当帰が血小板機能をさらに抑制することで、アスピリンの効果を増強し、出血リスクを高めると示唆しています。(2017, Tsai)

台湾の医療データベースを用いた症例対照研究で、活血化瘀薬と抗血小板薬・抗凝固薬の併用による出血リスクを検証した。出血リスクは生薬の種類と併用薬の強度に依存し、特に強力な活血薬（水蛭、桃仁など）で顕著。INRモニタリングと投与量調整が必要。(Risk of Bleeding with Combined Use of Chinese Herbal Medicine and Antiplatelet/Anticoagulant Drugs: A Population-Based Nested Case-Control Study" (Journal of Ethnopharmacology, 2024)

心血管疾患患者を対象に、中薬とワルファリン・アスピリンの薬力学的相互作用を調査した臨床研究。活血化瘀薬は血栓予防効果を高める一方で、抗凝固・抗血小板作用を過剰に増強し、出血イベントを誘発するリスクがある。特に多剤併用時のモニタリングが重要です。(Pharmacodynamic Interactions of Traditional Chinese Medicine with Warfarin and Aspirin in Patients with Cardiovascular Diseases" (Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine, 2023))

中国の電子カルテデータを用いた実世界研究で、抗血栓療法（抗凝固薬・抗血小板薬）と中薬の併用安全性プロファイルを分析。川芎、当帰、丹参などの活血化瘀薬は抗血栓薬の効果を増強するが、出血リスクも比例して上昇。個別化処方と定期検査が必須。(Safety Profile of Combining Chinese Herbal Medicines with Antithrombotic Therapy: A Real-World Study Using Electronic Health Records" (Chinese Medical Journal, 2025))

台湾の国民健康保険研究データベース (NHIRD) から、抗凝固薬を投与されている患者計 4,470 名が選ばれました。甘草、三七人参、桔梗、人参、杜仲を併用することによって、出血リスクが減少します。(2022, Hsu)