高血圧の中医治療
rainafterfine高血圧は中医学では、高血圧病とも呼ばれます。厳密に言えば、中医学にこの西洋病名は存在せず、主に眩暈、頭痛、他には心悸、水腫、中風が、西洋医学の高血圧に相当します。病因病機としては、肝風、肝陽です。(中医臨床66, 2)
１．慢性的な精神的ストレスから、肝気鬱結となり、鬱結した肝気が化火して、肝風上擾、肝火上炎となる。
２．肥甘厚味で脾胃を傷つけ、痰濁が内生・停滞して痰熱となる。熱化した痰濁が肝風・肝火と一緒になると風痰上擾となる。
３．労逸や加齢で腎精が虚すと肝の陰血も不足して、相対的に肝陽が過剰となり、上亢して清空を撹乱する。
| 肝火上炎 | 激怒、頭痛（激痛、脹痛）、強い熱感、眩暈、顔面紅潮、耳鳴、目が充血 | 舌紅苔黄、脈弦数 | 竜胆瀉肝湯加減 | 竜胆、黄芩、山梔子、当帰、生地、沢瀉、木通、車前子、甘草 |
| 肝陽上亢 | 眩暈、頭痛、軽い熱感、心煩、易怒、不眠、多夢、口苦口乾、腰膝酸軟 | 舌微紅、苔薄白か黃、脈弦有力 | 石決牡蠣湯 | 石決明、牡蠣、白芍、牛膝、釣藤鈎、蓮心（清熱瀉火）、蓮子（収渋） |
| 天麻釣藤飲 | 天麻、釣藤鈎、石決明、黄芩、山梔子、桑寄生、杜仲、牛膝、益母草、茯神、夜交藤 | |||
| 肝風上擾 | 眩暈、頭痛（脹痛、激痛）、手足のしびれ・ふるえ、言語障害、歩行困難 | 舌紅、脈弦細 | 鎮肝熄風湯加減 | 代赭石、竜骨、牡蠣、亀板、白芍、牛膝、天門冬、川楝子、麦芽、青蒿、甘草 |
| 肝腎陰虚 | 眩暈、耳鳴、心悸、不眠、腰膝酸軟、記憶力減退、盗汗、形痩口乾、五心煩熱 | 舌紅、嫩、苔薄少 | 蓮椹湯（れんしんとう） | 蓮子、桑椹（そうじん、養血）、女貞子、旱蓮草、山薬、鼈甲、牡蠣、 |
| 杞菊地黄丸 | 熟地、山薬、山茱萸、沢瀉、茯苓、牡丹皮、枸杞子、菊花 | |||
| 気虚痰濁 | 頭暈、頭重、胸悶、気短、倦怠乏力、悪心、痰涎、肥満 | 舌胖嫩、歯痕、苔白膩、脈弦細滑 | 赭決七味湯 | 黄耆、人参、陳皮、半夏、茯苓、代赭石、草決明、白朮、甘草 |
| 黄連温胆湯 | 半夏、陳皮、茯苓、甘草、竹茹、枳実、生姜、黄連 | |||
| 気滞血瘀 | 眩暈、頭痛、固定痛、刺痛、脹痛 | 舌紫暗、瘀点、脈弦渋或結代 | 逍遥散加味 | 当帰、白芍、柴胡、白朮、茯苓、甘草、生姜、薄荷、桃仁、紅花、三稜、蘇木 |
| 陰陽両虚 | 眩暈、眼花（飛蚊症）、耳鳴、腰膝酸軟、夜間多尿、自汗盗汗、冷え性、気短、乏力 | 舌淡嫩、或紅、苔薄白潤 | 肝腎双補湯 | 桑寄生、何首烏、川芎、淫羊藿、玉米須（ぎょくべいしゅ、利尿）、杜仲、磁石、竜骨 |
| 二仙湯加減 | 仙坊、淫羊藿、巴戟天、当帰、知母、黄柏 |
■高血圧に有効な単味薬（中医臨床66）
| 平肝熄風 | 天麻、釣藤鈎 | 中枢神経の鎮静、交感神経の抑制、外周血管の拡張、利尿 |
| 瀉肝瀉火 | 夏枯草、黄芩、山梔子、菊花、玄参 | 血管の拡張、利尿 |
| 活血化瘀 | 丹参、赤芍、紅花、益母草、桃仁 | 中枢神経の鎮静、心拍数の減少、外周循環の血流量の増加、血小板癒着の抑制 |
| 利水滲湿 | 沢瀉、防已、車前子 | 降血圧、血管の拡張、利尿 |
