若年者が新型コロナワクチンを接種する意味はあるのか?
まとめ:非高齢層(60〜70歳未満)におけるCOVID‑19感染致死率(ワクチン普及前)は、非常に低く、0.0003%〜0.5%程度の範囲で、年齢とともに指数関数的に上昇します。新型コロナ死は老死モデルのGompertz死亡モデルに一致しています。老死と無関係の若者に新型コロナワクチン接種をする意味はあるのでしょうか?
38カ国の国別の国民ベースの血清抗体調査(seroprevalence study)と年齢別死亡データを組み合わせて、その中から29カ国(主に高所得国)で年齢別死亡データと抗体調査データが利用可能非高齢層(60〜70歳未満)におけるCOVID‑19感染致死率(ワクチン普及前)は、非常に低く、0.0003%〜0.5%程度の範囲で、年齢とともに指数関数的に上昇することを報告しました。IFR(COVID-19感染致死率)は年齢が10歳上がるごとに約4倍に増加しました。(2023, Pezzullo)
年齢層 | IFR中央値 |
---|---|
0–19歳 | 約 0.0003% |
20–29歳 | 約 0.002% |
30–39歳 | 約 0.011% |
40–49歳 | 約 0.035% |
50–59歳 | 約 0.123% |
60–69歳 | 約 0.506% |
システマティックレビューには113の研究が含まれており、そのうち27の研究(34の地理的場所をカバー)が包含基準を満たし、メタ分析に含まれました。年齢別のIFRは、研究の中間日から4週間後に報告された死亡者数と併せて蔓延データを使用して計算され、死亡者数と報告の一般的なタイムラグを反映しています。Stataのメタ回帰手順を使用して、年齢別の感染致死率(IFR)を分析しました。分析では、COVID-19の年齢とIFRの間に指数関係があることがわかりました。推定年齢別IFRは、小児および若年成人では非常に低い(例:10歳で0.002%、25歳で0.01%)が、55歳で0.4%、65歳で1.4%、75歳で4.6%、85歳で15%と徐々に増加しました。(2020, Levin)

COVID-19による死亡率は、加齢に伴う死因、肺炎、インフルエンザの中央値に近いGompertzモデルで、年齢とともに指数関数的に増加します。(2021, Sasson)

Gompertzモデルは、加齢に伴って死亡率が指数関数的に上昇するという数理モデルです:μ(x)=AeBxμ(x)=AeBx
ここで:
- μ(x)μ(x):年齢 xx における死亡率(ハザード率)
- AA:基礎死亡率(若年層の低リスク)
- BB:年齢に伴うリスクの上昇度(加齢係数)
🔍 なぜCOVID-19でもGompertz的な死亡率になるのか?
1. 免疫老化(Immunosenescence)
- 高齢になると免疫システムが機能低下:
- ナイーブT細胞・B細胞の減少
- サイトカイン制御が悪化(=サイトカインストーム誘発)
- 結果として、高齢者はCOVID-19に対して異常に脆弱になる
⇒ 加齢による指数関数的なリスク増加と整合性あり
2. 慢性疾患の蓄積(Comorbidity accumulation)
- 年齢が上がるごとに:
- 高血圧、糖尿病、COPD、心不全、がんなどの持病が増加
- これらはすべてCOVID-19の重症化リスク因子
- 加齢 = 疾患の累積 = 感染症への脆弱性増大
3. 修復・再生能力の低下
- 肺・血管・神経系などの臓器の損傷を修復する力が年齢とともに低下
- COVID-19による全身性炎症に対し、回復力の差が死亡率に直結
Gompertzの法則に従う疾患:脳血管疾患、心血管疾患、がん、認知症、肺炎、インフルエンザ。
従わない疾患:事故死、自殺、一部の小児疾患(川崎病など)、一部の小児感染症(麻疹など)