小柴胡湯問題の原因はエキス剤の黄芩または添加薬剤
まとめ:日本だけに起こったエキス剤小柴胡湯による副作用問題はエキス剤に含まれる黄芩または添加薬剤が原因を考えられます。エキス剤のメーカーは特定できません。
エキス剤小柴胡湯は、製造会社に関わらずアレルギー反応を起こして肺臓炎を起こしたことが報告されています。(1992, 大坊)
エキス剤小柴胡湯による薬剤性の肝障害を起こした症例に対してLST(リンパ球刺激試験)で原因成分を調べた所、 ハンゲ、ニ ンジン、サイコおよびカンゾウの4成 分が陽性を示しました。(1992、門田)
エキス剤小柴胡湯により肝および腎障害を来した慢性C型肝炎の症例では、小柴胡湯に対するLSTは 陰性であったが、そ の組成成分であるニンジン、ハンゲ、オウゴン、タ イソウに対しては陽性でした。(1995, 阪井)
エキス剤小柴胡湯によって薬剤性肺炎を起こした症例では、LSTで黄芩と半夏が陽性でした。(1999、加藤)
構成成分によるDLSTの検討では黄芩、半夏に陽性を示す報告(1997、山脇)、 (1992、妹川)が多いが、小柴胡湯としてのみ陽性でその成分ではすべて陰性であった症例(1999、畠山)(1995、渡辺) など,一定の傾向は認められていない。
エキス剤小柴胡湯による薬剤性肺炎を検討した所、94例中72例が同剤単独による薬剤性肺炎と判定されました。末梢血リンパ球を用いたDLST(薬剤によるリンパ球刺激試験)は 約半数の例で陽性でした。(1997, 佐藤)
エキス剤小柴胡湯による薬剤性肺炎症例において、添加薬物のLSTが用量依存性に上昇しており、生薬ではなく添加薬物が原因物質として考えられた。(2007, 中山)
日本でのみの報告であるが小柴胡湯などのエキス剤漢方薬による薬剤性間質性肺炎の報告57症例を検討した結果、エキス剤漢方薬に含まれる原因となる生薬として黄芩が挙げられています。小柴胡湯以外にも黄芩を含むエキス剤の柴苓湯、温清飲、半夏瀉心湯、黄連解毒湯、大柴胡湯、辛夷清肺湯、柴朴湯、柴胡桂枝乾姜湯、柴胡清肝湯、清心蓮子飲、大建中湯、乙字湯の副作用報告があります。(2002, 寺田)
小柴胡湯による副作用問題は、日本にだけ起こっています。(2000、小金井)
中国では小柴胡湯による1983年から1995年までに死亡例は報告されていない。中国で常々強調されていることは、座席の「指定券」(当てはめ)方式の治療(病名漢方)では絶対に通用しないということである。漢方薬を用いる場合は、必ず証に応じた投薬が必要である。漢方医学の教育を受けたことにない医師が、製薬メーカーの宣伝に従って患者に投薬することは中国では考えられない。(1996、中医臨床65)
エキス剤漢方は、その中の主成分の濃度が最大になる条件で製造されています。中医学で煎じる条件とは異なった条件で作られています。(長沢元夫「伝統医学の学び方」)