血液サラサラの話

血液をサラサラにする治療は、抗血栓療法と言われます。

血液の塊が出来て、血液の流れが止まることによって、動脈血栓(心筋梗塞や脳梗塞)と静脈血栓(エコノミークラス症候群)の問題を血液をサラサラにする薬で防ぐ治療が抗血栓療法です。

抗血栓療法は抗血小板療法と抗凝固療法に分けられます。抗血小板療法は、抗血小板薬を用いて血小板の凝集を抑制するもので,主として 血流の早い動脈系を中心としたアテローム血栓症の予防に有効とされています。

一方,後者は抗凝固薬によって血液の凝固因子を阻害することで,赤血球やフィブリンによる大きな血栓の凝集を抑制するもので,主に流速の遅い静脈系,左房などの血栓塞栓症の予防に有効と言われています。

抗血栓療法のジレンマと言われる問題があります。

これは抗血栓療法で血栓の問題は解決したとしても、血が固まりにくくなることで逆に脳出血や消化管出血の副作用が新たに出てくる問題です。

代表的な抗血小板薬のアスピリンは、脳梗塞や心筋梗塞のリスクを約25%減らしますが、一方で致死的な出血のリスクを年間で約1%上昇させます。

薬は作用と副作用をよく考える必要があります。

健康な人の脳梗塞や心筋梗塞の予防(一次予防)のためにアスピリンが有効ではないかと議論されていましたが、副作用を上回る有効性がないことが報告されています。

現在のガイドラインでも無症候性脳梗塞に対して、原則的に抗血小板療法を行わないことになってます。

心血管性疾患の既往のある人や、ステントや弁置換などの手術後の管理の目的で(二次予防)、抗血栓療法は行われると言う立場です。