アビガン
安倍首相が連呼されていた新型コロナウイルスの治療薬のアビガンについて調べてみました。
現在は、国が指定した感染症の入院施設のある医療機関でのみ投薬が可能であり、入院患者を対象として処方されています。外来では処方できません。
強力な遺伝子の合成阻害作用を持っているので、胎児の成長に障害が出て、催奇性の問題があることが動物実験で明かになっています。
そのために、妊婦及び妊娠可能女性への投与が禁忌になっているので、国が厳重に管理をしています。
新型コロナ感染症に対して、アビガンに関する臨床の論文は現在は一本しか出ていません。
データを抜き出してみます。
1.中等度の患者には、71.43%(70/98名)の治癒率(対照薬55.86%、62/111名)。
2.重症の患者には、1/18名回復(対照薬0/9名)。
3.投薬後、熱は2日目、咳は3日目から効き始める。
4.副作用は、肝機能障害7.76%、尿酸値上昇13.79%、精神症状1.72%、消化器症状13.79%。
私の考察は以下です。
対照薬は効果が十分ではない薬と想定すると、対照薬の回復率は自然治癒による回復と考えられます。
アビガンそのものの有効性は、その分を差し引いて考えるべきです。
抗ウイルス薬は、抗生物質と違って、ウイルスそのものを死滅させる作用はありません。
アビガンの作用はウイルスの増殖を抑制させる作用で、すでに増殖したウイルスを死滅させることは出来ません。
また、二次的に肺で起こると言われている免疫応答の暴走による肺組織の損傷(サイトカインストーム)が起こってしまっている場合は、アビガンの治療では間に合わないので、重症者に対する有効性が低くなると考えます。
ウイルスを直接死滅させる作用がないので即効性がなく、投薬後2~3日して効果が出てきます。
即効性がなく、重症例には効果が乏しいので、より早期の治療が望まれます。
現在のコロナウイルスの受診の基準は以下です。
(1)風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続いている。
(2)強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある。
ポイントは「息苦しさ」です。階段の上りや早歩きで、普段と違う息苦しさを感じるようなら肺に炎症が進んでいるかもしれませんので要注意です。
副作用に注意しながら、自覚症状や肺CTを基にして、早期にこの治療をする方法があります。