ビタミンA
ビタミンAは、皮膚・粘膜・目の健康、身体の成長に関係する脂溶性ビタミンです。
(新陳代謝の激しい粘膜に関係しています。)
下図は食品100g当たりのビタミンA活性持つ成分の量ですが、ビタミンAには主に動物由来のレチノールと植物由来のカロテンがあります。
動物性のビタミンAは植物性に比べて量が一桁違います。
代謝経路と生理作用です。
ビタミンAの摂取基準では、ビタミンA活性を持つ物質の総量として、レチノールだけでなくビタミンAの前駆体すべて合わせて、レチノール活性当量(RAE)として算出した値を用います。レチノール活性当量は以下の式で求めます。
「ビタミンA効力 1IU=レチノール活性当量0.3μgRAE」に相当します。
植物由来のカロテンは、ビタミンA活性は僅かしか持っていません。ビタミンAの前駆物質であり、代謝されてレチノールとなって活性を発揮します。
つまり、前駆体のカロテンは体内で代謝調整されるので過剰症の心配はありません。
動物由来のレチノールは過剰症の報告があります。
1913年に北極探検隊のLindhardは、クマとアザラシの肝臓を大量に食べた隊員19名のビタミンA過剰症を報告しています。
最初の2−4時間で、眠気、頭重感、吐き気、嘔吐、激しい頭痛、焦燥感、入眠困難が起きました。
次の24時間で、口の周りの皮膚が剥離して、さらにその剥離する範囲が広がって行きました。
イヌイットは慣習として急性のビタミンA過剰症を避けるために、動物の肝臓を食べないようにしていました。
一般的な動物の肝臓に比べて、北極熊などの寒冷地の動物の肝臓には20倍〜100倍のビタミンAが含まれています。
癌治療のために1日50万IUのビタミンAを与えられたケースでは、脱毛と肝腫大が起こりましたが、その後サプリの中止によって回復した報告があります。
これらは非常に稀なケースですから、基本的には過剰症より欠乏症を心配するべきです。
ビタミンAの国の推奨量は1日2000IU〜5000IUであり、栄養学的な推奨量は1日10000IU〜25000IUが目安です。
食事で摂るならレバーを定期的に摂取する方法が確実です。
ビタミンA不足を調べる検査は一般的ではありませんし、適正摂取量も推定しにくいです。
(血中濃度の測定は可能ですが、肝臓に蓄積されるので、体内の不足量の推定が困難です。)
ビタミンAの抗癌作用については、ビタミンCやビタミンDほど有名ではありません。