ADHDと腸内フローラ

まとめ:ADHDの方の腸内フローラの特徴として、多様性の低下とバクテロイデス(下図)の増加があります。

→野菜・果物を増やすことで改善できる可能性があります。

ADHDと腸内フローラに関する研究も沢山報告されていますが、矛盾した内容を含んでいます。

2017年にAartsらは、オランダの19人(平均年齢19.5歳)のADHDと77人の対照群を比較して、多様性の違いはないが、ビフィズス菌の有意な増加およびバクテロイデスの増加を報告しました。

2018年にJiangらは、中国の51人のADHDの少年と32人の対照群を比較して、多様性の違いはないが、Faecalibacteriumの有意な減少を報告しました。

2018年にPrehn-Kristensenらは、ドイツの14人のADHDの少年と17人の対照群を比較して、多様性の低下、バクテロイデスの増加を報告しました。

2020年にWangらは、中国の30人のADHDの少年と30人対照群を比較して、多様性の増加および減少(指数によって結果が異なる)、バクテロイデス(Bacteroides UniformisB.ovaus)の増加を報告しました。またADHD群は、穀物の消費量が多いこと、Bacteroides uniformisは脂肪と炭水化物の消費量と相関していたことを報告しました。

2019年にCasasらは、ドイツの子供を対象とした研究で、寝室の床のほこりの多様性が、ADHD傾向と関連しており、微生物の多様性への幼少期の曝露は、精神行動の発達に役割を果たす可能性を指摘しています。

2019年にChenらは、遺伝子セット濃縮分析を用いて、精神疾患と腸内フローラの関係を解析しました。ADHDとデスルフォビブリオ属との有意な関連を発見しました。(自閉症では、バクテロイデス属P  = 0.012)とデスルフォビブリオ属P  = 0.033)で関連シグナルが観察されました。)

2019年にStevensらは、ADHDの子供17人にビタミン、ミネラル、アミノ酸、抗酸化物質のサプリを10週間投与して、腸内フローラの変化を観察しました。有意ではないが多様性の増加、ビフィズス菌の減少を報告しています。

2019年にLacorteら2020年にHiergeistらは、ADHDの腸内フローラに関する総論を出しています。