ワクチンの有効率の問題2

感染症は自分がうつるかうつらないか、自分が重症化するかしないかが問題という意見があるようです。

そのような意見は統計が理解出来ていない人の発想です。

コインを投げて表か裏かになる確率は50%ですが、日本で1年間に新型コロナに感染する確率は1%です。

「うつるかうつらないか」を言葉にすると50%ですが、実際には1%に過ぎません。

テレビの有名人が何人感染していたとしても、インフルエンザと違って新型コロナは日本全体で見ると低い感染率です。

自分の実際に知っている人の中で感染者数を数えて見ると、年の感染率1%以下になるはずです。

私は年間1000人近くの方にお会いしますが、感染者は5名程度です。

新型コロナを専門的に診ておられる方は、集まった数字を見られるので、実際より感染率が高く感じるバイアスが生じます。

個人の思い込みではなくて、科学的に正しい確率を計算する方法が統計学です。

統計では、危険度減少率という計算を行います。前の記事のデータを使ってみます。

プラセボ群2万人に接種して162人、ワクチン群2万人に接種して8人が発症した設定です。

1.相対危険度減少率(相対リスク減少率)Relative Risk Reduction

感染した人をピックアップして、ワクチンを打たなかった人と打った人の比率を見ます。95%になります。

2.絶対危険度減少率(絶対リスク減少率)Absolute Risk Reduction

ワクチンを打たなかった人の感染比率とワクチンを打った人の感染比率です。0.8%になります。

予防医学では相対リスクを採用していますが、現実的には感染率を考慮して絶対リスクで考えるべきです。

上の相対リスクがコインの裏表、うつるかうつらないかの発想で、下が感染率を考慮した現実的な統計数字です。

別の言い方をすれば、

新型コロナウイルスの感染率が100%、国民全員が感染発症するのでであれば、ワクチンの有効率は95%になります。

実際は、無症状感染や無感染がほとんどで、感染率は年1%なので、ワクチン有効率は低くなります。

無症状感染の人は、天然のワクチン接種を受けたことになるので、医薬品のワクチンは要りません。

また別の言い方をすれば、

メディアなどで、よく言われる「ワクチンの有効率」という言葉は、正確に言えば、

「(感染発症してしまった人に対する)ワクチンの有効率」という意味です。

感染発症しないほとんどの人は、横に置いておいて、感染発症した人だけに着目してみた場合の、有効率という意味です。

感染者プラス感染発症しない人を含めて、日本全体で計算すると、有効率は1%以下という数字になります。

もうひとつ治療必要数 NNT(Number Needed to Treat)という数字があります。

NNT = 1 / (ワクチンなし感染者数/ワクチンなし母集団 — ワクチンあり感染者数/ワクチンあり母集団)

これは、1人の新型コロナの感染を防ぐために何人にワクチンを打てばいいのかという数字ですが、130人という数字になります。

ワクチンを打つメリットとデメリットという話もよく聞きますが、メリット(有効性)は日本では1%以下です。

感染率の高い海外と日本とでは事情が違います。

発生地の武漢に近い地域ほど、旧型コロナウイルスの交差免疫の保護効果があると考えています。

2021年にBrown先生がこの件を論文で告発しています。