電磁波から身体を守るための食事療法

近年問題になっている電磁波は、放射線の一種です。

2020年にGuoらは、放射線障害と腸内細菌の関係について調べました。

実験的な放射線被曝を生き延びたマウスは、腸内細菌叢に特徴があることを報告しました。同様の結果は、人間の被験者の小さなグループでも観察されました。

また、放射線に強いマウスの糞便を別のマウスに移植すると、高線量放射線に暴露されても放射線被ばく後の長期生存 マウスが増加し、放射線被ばく急性症状が軽減しました。

またこれらの腸内細菌は、高レベルの短鎖脂肪酸(プロビオン酸)およびトリプトファンの代謝産物を生成することを報告しました。

この論文で示されているマウスの腸内細菌のLacnospiraceaなどをヒトにそのまま当てはめることは難しいのではないかと思いますが、腸内細菌が作る代謝産物はヒトに当てはめることが出来ます。

短鎖脂肪酸のプロビオン酸は、酢酸とともに大腸の蠕動運動のエネルギー源になる代謝物です。このプロビオン酸を増やすためには、腸内細菌のエサとなる食物繊維を摂取することが大事です。

トリプトファン代謝物を増やすには、トリプトファンを多く含む肉や魚などの動物性タンパク質やホエイプロテインを摂取する方法があります。

またトリプトファンを代謝するキヌレニン経路の化学反応には、補因子として鉄、亜鉛、マグネシウム、補酵素としてビタミンC、B群が重要です。

まとめ:放射線対策としての食事は、野菜・果物・海藻などの食物繊維と動物性タンパク質、鉄、亜鉛、マグネシウム、ビタミンC、B群が重要です。

ヒトの腸内細菌ではありませんが、放射線に強いデイノコッカス・ラディオデュランスという菌があります。

強い放射線を浴びても生き残ることが出来る放射線耐性菌であり、また放射線だけではなく高温、低温、乾燥、低圧力、酸の環境下にも耐えることができる極限環境微生物として、ギネスブックにも登録されています。

放射線に耐える能力はその強力なDNA修復機構によると考えられています。通常の生物はガンマ線を放射してDNAを数百の断片に切断すると回復できずに死に至りますが、D. radiodurans は通常12-24時間程度でDNAを復元出来ます。このDNA修復機構を獲得するに至った経緯は、乾燥に耐えるためと考えられています。実際、乾燥もDNAの断片化につながる上、デイノコッカス・ラディオデュランスは乾燥にも耐える菌であり、放射線に弱い変異株は乾燥にも弱くなることが明らかとなっている。

ヒトに当てはめて考えることは難しいですが、ヒトでは核酸はグルコースからペントースリン酸経路を経て、ビタミンB群などを補酵素として作られます。DNAの修復のためには、材料のグルコースとビタミンB群の不足があってはいけません。