魚の大量摂取のリスク

2021年9月29日

まとめ:魚の偏食・大食のリスクについても考慮が必要です。

オメガ3が怪しくなってきたという記事を書きましたが、魚の摂取について調べてみました。

近藤正二先生の長寿研究では、「労働が激しく、 魚又は大豆を十分にとり、なおかつ野菜や海草を多食する地域は長寿村であるが、米と塩の過剰摂取、魚の偏食の見られる地域は短命村が多い」と指摘されました。

魚を大食して野菜不足のところは必ず短命である。そしてとくに心臓疾患に因る若死が多い。隠岐 (とくに島前) は全国一に長寿者が多く、壱岐もそれに次いで長寿であるのに、対馬は長寿者が著しく少ない。対馬は全島ほとんど山で、しかも石が多いので耕地が少ない。魚に恵まれているので食生活は野菜不足で魚を大食している。壱岐の渡良村で、他の部落がいずれも長寿者率5~7%で あ るのに、ただ1つ小崎浦部落だけが長寿者が 目立って少ない (3.2%)。小崎浦は昔から畑を全然持たない部落で、漁業専門で魚を大食して野菜不足の食習が行なわれてきたところである。

→魚はタンパク源として有用であるが、大量に食べると問題が出現します。

2009年にDevoreらは、魚の摂取と長期的な認知症との関連を調べた結果、認知症リスクとの関連を認めませんでした。

→魚の摂取は、認知症に対して保護効果も促進効果も認められなかった。

2008年にKaushikらは、質問紙法で魚の摂取量と2型糖尿病との関係を調べたところ、魚を多く摂取すると2型糖尿病のリスクが上がることを指摘しました。

2011年に南里らは、日本での質問紙法による大規模調査で、魚と魚介類の摂取量が多い集団では、魚の摂取は男性では2型糖尿病のリスクの低下と関連していましたが、女性では関連していませんでした。

2012年にWallinらは、魚の摂取と2型糖尿病のリスクを伴う長鎖n-3脂肪酸の食事摂取との関連の16の論文を考察しました。不均一な結果から結論は出せないとしています。

→魚の摂取およびオメガ3脂肪酸と2型糖尿病との関係は不明。

1995年にSalonenらは、東フィンランドの男性は魚を多く消費しますが、心血管性疾患による死亡率が世界で最も高いことが知られています。東フィンランドの男性において、魚の摂取量と毛髪や尿中水銀量と、心血管性疾患との相関を報告しました。毛髪および尿中水銀量は酸化LDLの力価と相関しており、水銀により過酸化脂質の促進によって心血管性疾患が増えることを指摘しています。

2002年にGuallarらは、既知の生理学的活性を持たない反応性の高い重金属である水銀は、心血管疾患のリスクを高めることが示唆されています。魚の摂取は水銀への主な曝露源であるため、魚の水銀含有量はそのn–3脂肪酸の有益な効果を打ち消す可能性があります。心筋梗塞の診断を受けた687人の男性と対照群の724人の爪の水銀量を測定して、相関関係を報告しています。

2007年にWenbergらは、スウェーデンにおいて、魚の摂取と脳卒中リスクについて調べました。魚の摂取量と赤血球中の水銀量とオメガ3脂肪酸量の3つの強い相関関係を認めました。魚の摂取量と脳卒中との相関関係を認めましたが、男性のみで相関し女性では相関していませんでした。

→魚の摂取量が増えると水銀の摂取量が増えて、脳卒中および心血管性疾患へのリスクが上がる。

2018年にHengeverdらは、魚の摂取量の少ないオランダ人を対象にして、魚の摂取量との関係を調べ、魚の摂取量が週1回未満であることは脳卒中、心血管性疾患と無関係であることを報告しました。また、魚を週に1回以上摂取すると、虚血性脳卒中の発生率のみが低下することを指摘しました。

→オメガ3脂肪酸の脳卒中および心血管性疾患に対する保護効果は不明瞭。

2009年にMelloらは、赤身の魚と多脂魚の摂取と冠状動脈性心臓病患者の末梢血単核細胞における炎症性遺伝子発現の関連を調べ、どちらの種類の魚も結果を変化させなかったことを報告しました。

2018年にQinらは、脳卒中のリスクと赤身の魚と多脂魚の摂取との関連を調べました。魚の摂取は脳卒中リスクの低下に有用であり、赤身の魚が多脂魚よりもより有用であることを報告しました。

→オメガ3脂肪酸の脳卒中に対する保護効果は不明瞭であり、タンパク質の補給によって脳卒中のリスクが下がる可能性が高い。

2003年にStrippらは、魚の摂取量と乳がんの発生率が相関することを報告しました。

まとめ:魚は貴重なタンパク源としての価値はありますが、大食すると水銀と過酸化脂質の問題があり脳卒中、心血管疾患、発癌リスクが出てきます。魚に含まれるオメガ3脂肪酸の有用性は近年の研究では、不明瞭になっていますが、この記事はオメガ3脂肪酸の有用性の低さをさらに支持しています。