冬眠と多価不飽和脂肪酸
動物で見られる冬眠や夏眠は、うつ病の病態とよく似ており、ヒトにおける植物に似た状態とも考えられています。
クマの冬眠前と非定型の特徴を伴う大うつ病は、過食、寝坊、運動能力の低下、脂肪の蓄積を特徴としています。(2005年、Tsirourisら)
高レベルの多価不飽和脂肪酸を含む食事は、哺乳類の休眠状態を強化します。多価不飽和脂肪酸は、他の脂肪酸よりも自動酸化を受けやすく、それによって毒性の高い過酸化脂質を生成します。脂質過酸化は、休眠中に増加します。(1998年、Frankら)
冬眠中の哺乳動物は、脂肪細胞から分解されたケトン体が深い休眠中に最も高い濃度になり、ケトン体によって身体が維持されています。冬眠中に糖を投与しても、選択的にケトン体を使ってATPを産生します。(2009年、Andrewsら)
冬眠中はインスリン抵抗性が上がり、ブドウ糖を使用しにくくなり、ケトン体が主体となります。また甲状腺機能が低下することが知られています。(2013年、McCainら)
冬眠と断食と長寿のメカニズムは共通点が多く、冬眠する動物は寿命が延びることが報告されています。(2020年、Attarら)冬眠が悪い点ばかりではないと言うことです。
冬季うつ病、うつ病の治療法として、転地療法、光線療法、温熱療法、ビタミンDなどの栄養療法以外にも、多価不飽和脂肪酸(オメガ3およびオメガ6脂肪酸)の摂取量を減らす方法が可能かもしれません。
オメガ3脂肪酸とうつ病との研究結果は、はっきりした治療効果を示せていません。
また、ケトン体の使用を有意にさせないケトジェニックでない食事や甲状腺の機能を下げないための運動などが有効かもしれません。
多価不飽和脂肪酸は、うつ病の原因のひとつになるのかはまだ確証が掴めてないので、引き続き調べて行きたいと思います。