口腔内フローラの改善
まとめ:口腔内フローラの改善のためには、砂糖と酸性飲料の摂取を控えること、特に食事以外での間食や飲み物に注意が必要です。
口腔内をアルカリ性に戻すためのタンパク質の摂取、多様性を改善する飽和脂肪酸とビタミンCの摂取することのメリットが報告されています。
禁煙、肥満、糖尿病などの生活習慣病の管理も大切です。
口腔内には、約700種類でおよそ1兆個の細菌が存在しており、腸内フローラに次いで2番目の規模を持つ細菌叢が存在しています。
2016年にKilianらは口腔内フローラについて総括しました。
虫歯が出来る環境では、砂糖や炭水化物から有機酸(乳酸など)が作られて酸性に傾き、脱灰が起こります。健康な歯では、タンパク質の異化作用に伴う代謝でアルカリ性に戻して、再石灰化を促します。酸性環境になると酸性耐菌が有意となりさらに口腔内フローラのディスバイオーシスが進みます。
口腔内フローラを酸性に傾けるショ糖と酸性飲料の問題を指摘しました。
2015年に北迫らは、酸性飲料による虫歯の問題を指摘しました。
2017年にKatoらは、結腸直腸癌182名の口腔内フローラを調べて、多様性が飽和脂肪酸およびビタミンCの摂取量と相関すること、また血糖負荷(グルコース摂取量)とミュータンス菌と共に虫歯の原因菌と言われる乳酸桿菌の量が密接に関係することを報告しました。
2014年にBelstrømらは、口腔内フローラは喫煙の影響を受けるが、食事量、肥満、アルコール、年齢、性別の影響を受けないことを報告しました。
2014年にFilippisらは、通常食と菜食主義者の口腔内フローラを比較して、食事の違いが口腔内フローラに与える影響は極わずかであること、唾液中の代謝物を分析したメタボローム解析では大きな違いがあることを報告しました。
2019年にLuらは、口腔内フローラは特に肥満、糖尿病、膵臓癌、大腸癌などの全身疾患に関与することを総括しました。
2020年にOlsenらは、口腔内フローラの問題が脳に影響を与え、自閉症の発症に関与することを報告しました。