アルブミン
アルブミンは、約600個のアミノ酸からできた分子量約66,000の比較的小さなタンパク質です。そして、アルブミンは血漿タンパクのうち約60%を占めており、100種類以上あるといわれる血漿タンパクの中で最も量が多いタンパク質です。
■アルブミンの働き
1.アルブミンは血漿タンパクの中で、血管内に水を保持する働きが最大です。このことにより、私たちの血管中の血液量や体内での水分の量を調整する重要な働き (血液の浸透圧の維持)をしています。血液中のアルブミンが低下すると、血管内の血液の量が少なくなったり、血管外(お腹や肺など)に水が溜まったりする浮腫が起きます。
2.アルブミンは、脂肪酸、ホルモン、カルシウム、薬物など様々な物質と結合して、必要な部位にこれらを運搬する働き(各種物質との結合と運搬)をしています。
■アルブミンが低値の時の意味(基準値 3.8g~5.3g/dL)
1.3週間前の栄養状態
血清アルブミン値は、血球半減期が 14~21 日と長く、変動がゆるやかで、長期の栄養状態を反映しています。
つまり、「今」の栄養状態を如実に示すものではなく、およそ 3 週間前の値ということになります。
BUNを栄養の指標として見た場合は、血清アルブミンより直近のタンパク質摂取量を反映すると言われています。
2.肝機能障害
血清アルブミンは、肝細胞のみで作られ血液中に存在しています。何らかの異常で肝機能が低下すると、肝臓のアルブミンをつくる能力が低下するため、血液中の数値が下がります。
3.炎症
感染症などの炎症でCRPが増加する際にはアルブミン(以下Alb)も低値を示しやすく、AlbとCRPは負の相関にあります。炎症が続いていると,肝臓でのアルブミンやトランスサイレチン(プレアルブミン)の合成が抑制され,急性相タンパク(CRP)の合成に傾きます。
血清アルブミンと血清グロブリンの比を見るA/G比は、炎症時は血清アルブミンが低下して、血清グロブリンが増加するので、炎症の補完的な指標と考えられています。基準値は1.2~2.0ですが、リコード法では1.8以上であることが目安とされています。
4.腎機能
腎不全やネフローゼ症候群などで尿からアルブミンが過剰に排泄されて、アルブミンが低値になります。
■アルブミンが高値の時の意味
血液が濃縮することにより、見かけ上、アルブミン値が上昇します。
アルブミン値以外にも、ヘモグロビンやNa、Clなど脱水を示す検査値があわせて高値になることが多いです。