ヤセ薬、GLP-1受容体アゴニスト
まとめ:抗肥満薬の歴史は失敗の歴史です。GLP-1受容体作動薬は高血糖になるとインスリン分泌を促すため、インスリン毒の問題が出てきます。血糖値を上げる精製糖質の制限が、ダイエットの基本です。
グルカゴン様ペプチド 1 受容体アゴニスト(Glucagon-like peptide-1 receptor agonist, GLP-1)は近年注目されている抗肥満薬です。
もともとは、糖尿病治療薬の中で、インスリン分泌促進型のインクレチン関連薬のひとつです。
GLP-1受容体アゴニストはインスリン分泌促進薬の中では、SU剤に比べると低血糖のリスクが少なく(2012)、2型糖尿病に対してDDP-4阻害薬に比べて優れた血糖コントロールと体重減少(2014, Brunton)、腎保護効果(2020, Mouhayyar)が指摘されています。
現在は体重減少効果に着目されて、抗肥満薬として独り歩きを始めています。
■視床下部の満腹中枢に作用して食欲抑制効果を発揮します。(2021, Ard)
その他に、脂肪分の多いエネルギー密度の高い食品に対する相対的な嗜好の低下(2017, Brundell)、おいしいと感じる食物を欲しがる食欲報酬経路の変化(2015, van Bloemendaal)が指摘されています。
■胃内容物の排出を遅延させます。(2021, Ard)→副作用は、一時的な嘔吐、便秘、下痢です。
■インスリン分泌促進作用は高血糖の時のみ作用する(2018, Drucker)ので、低血糖や肥満のリスクは少なく、体重減少効果がより大きくなります。
■腸内フローラを改善することによって体重を減少させることが報告されています。(2018, Zhao)
■報酬系に作用することで薬物依存への治療(2016, Hayas)、神経保護作用からパーキンソン病への治療(2018, Hölscher)なども期待されています。