老化と断食
まとめ:新型コロナ後遺症、ワクチン後遺症の慢性炎症、自己免疫疾患、易感染性、老化現象などに対して断食が有効です。
加齢に伴って様々な生命機能が低下していく現象を「老化」と呼びますが、特に免疫系が低下して、感染症、自己免疫疾患、悪性腫瘍などに罹患しやすくなる現象を、免疫老化(immunosenescence)と言います。(2007, Gruber)
免疫系が低下することと矛盾しますが、加齢に伴ってサイトカインなどの炎症性タンパク質が増加する慢性炎症が起ってきます。
これを炎症老化(Inflamm-aging)と言います。(2006, Francesci)
主に加齢に伴う免疫老化と炎症老化によって、免疫系が亢進と低下、アクセルとブレーキが同時に踏まれる老化という現象が起こってきます。(2015, Naitou)
加齢は、T細胞の分化・成熟を司る胸腺によって指示され、中枢神経系および松果体によって調節される、自己免疫などによる緩やかなゆっくりとした消耗です。これを考慮すると、胸腺は老化のペースメーカーである可能性があります。
酸化ストレスが老化を促進し、抗酸化物質が抑制します。
また、老化と寿命には性差があり、女性が有利です。(2019, Csaba)
この免疫老化と炎症老化に対抗する方法のひとつが、断食です。(2017, Choi)(2020, Plotti)
断食によってAMPKが活性化して、オートファジーが促進することによってアンチエンジングにつながると考えられています。(2018, Bagherniya)
自己免疫疾患(2017, Choi)、悪性腫瘍(2014, Longo)に対して、断食の有効性が報告されています。
一方で、断食によって体内のグルタチオンレベルが低下することも報告されています。(1993, Vogt)
治療的に使われる断食は、主に3つの方法があります。
私は毎日16時間断食を行っています。
多発性硬化症を克服されたWahls先生は、隔日断食を実践されています。
断食の難易度は、16時間断食、隔日断食、週末断食の順番で難しくなると考えています。
断食を行うコツは、ご飯、パン、麺、お菓子、ジュースなどの精製糖質を避ける糖質選択がキッチリ出来ていることです。
食事で精製糖質を摂っていると血糖値の波(機能性低血糖症)が起こり、空腹に耐えられません。
甘いものを食べれば食べるほど、しばらくするとまた食べたくなる現象が起こります。
断食期間中の糖質の摂取については、断糖する方法もありますが、糖質選択して複合炭水化物(根菜、果物、蕎麦など)でロカボ(標準体重の1.5倍程度)をお勧めしています。